3月8日(ブルームバーグ):世界的な金融危機を予測したことで知られる米ニューヨーク大学のヌリエル・ルービニ教授は8日、原油相場が1バレル=140ドルに達すれば、一部先進国・地域の景気は二番底に陥ると警告した。
ルービニ教授は、世界的な景気回復の脆弱(ぜいじゃく)性を強調し、ユーロ圏の高債務周辺国が輸出競争力の回復に向けて懸命に努力する中で、欧州中央銀行(ECB)が「時期尚早の」利上げを行えば、過ちを犯すことになると語った。
同教授はドバイで記者団に対し、「原油価格が2008年夏に付けた140ドルに達すれば、その時点で一部先進国・地域の景気は二番底に陥り始めるだろう」と予想。「経済成長が加速しつつある米国では、原油価格が15-20%上昇しても二番底とはならないだろうが、成長ペースが再び失速することだろう」と指摘した。
同教授はこの日、ドバイで開かれたヘッジファンド関連の会議で、現行の原油価格が先進国・地域のインフレの「著しい」加速を招く公算は小さいと発言。それらの地域が「深刻なリセッション(景気後退)」からの回復段階にあり、高い失業率になお直面していることを理由に挙げ、「労働者にはあまり強い賃金交渉力がない」と述べた。
さらに、失業率がコアインフレ率を抑えている状況で、一部先進国・地域が「早過ぎる」利上げを実施すれば過ちを犯すことになりかねないと付け加えた。ECBのトリシェ総裁は3日、物価上昇圧力の増大に対処するため、早ければ4月にも利上げに踏み切る可能性を示唆した。
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