2月11日(ブルームバーグ):ガイトナー米財務長官は、11兆ドル(約920兆円)規模の住宅ローン市場を政府依存から独り立ちさせる複数の選択肢を議会に提案した。同時に、経済的な混乱を避けるため、こうした変更の「責任ある慎重な」段階的導入を求めた。
ガイトナー長官とドノバン住宅都市開発長官が11日提出した報告書は、将来の住宅金融システム構築に向けた3つの手法を提言している。報告書はまた、米政府が管理下に置く政府支援機関(GSE)のファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)とフレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)の事業を縮小し、「最終的には段階的に廃止」することも求めている。両社はサブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン投資を核にして膨れ上がった、住宅バブルの形成に関与したとされる。
ガイトナー長官は記者団との電話会見で、新たな住宅金融システムへの移行には5-7年はかかる可能性が高いと指摘。さらに、「米国は改革への道を極めて慎重に進み、景気拡大と住宅市場修復のプロセスは必ず支えるということを強調したい。景気や住宅市場は、危機による打撃で依然として低迷している」と述べた。
今回の計画では特定の長期的な選択肢や法案の提出を支持してはいない。3つの案にはいずれも、ファニーとフレディに対する政府支援の終了が盛り込まれている。両社が08年9月に政府の管理下に置かれて以降、総額1500億ドル以上の公的資金が注入された。
議会審議
議会では、今回の報告公表により、住宅金融システム改革の手段に関する政策論争が始まることになる。協議は数カ月から数年はかかる見通しだ。不動産ブローカーやデベロッパーは議会に対し、ファニーメイやフレディマックが牛耳っている住宅市場はあまりにも脆弱(ぜいじゃく)過ぎるため、無謀な抜本改革には耐えられないとの見方を示している。
信用危機以降、民間による住宅ローン投資が減少したことで、両社と米連邦住宅局(FHA)が住宅ローン担保証券のほぼ97%を保有または保証するに至っている。
ガイトナー長官は、オバマ政権が議会による立法に頼らずに最初のステップを踏み出せると指摘しながらも、「立法措置をあまりにも長期間先延ばしにすることは望ましくない」と表明。「最終的には市場に対して、結果がどうなるのかを説明しなくてはならない。長くは待てない」と続けた。
同長官は、この移行期間中も連邦政府はファニーメイとフレディマックの支援を継続すると表明。
その上で、「ファニーとフレディが改革へのプロセスを進む上で、すべての責務を果たすのに必要なリソースは確保できるようにすることを、政府は市場や投資家に明確にしていく」と述べた。
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