12月20日(ブルームバーグ):ブラジルでは、資産担保証券(ABS)業界が初めて捜査対象となったほか、消費者向け融資の返済遅延が増加し、銀行の株価が約10年ぶりの大幅安となるなど、国内金融システムの亀裂が表面化している。
規模の比較的小さい銀行の資金調達コストは、資産規模で同国21位の銀行パナメリカーノ銀行に対する11月9日の救済措置が捜査に発展して以後拡大しており、譲渡性預金(CD)の平均金利は11.8%から12.9%に上昇。融資債権の売買市場は機能を停止し、ブラジルの資本市場協会によると、資産担保コマーシャルペーパー(ABCP)の払い戻しは、同行の救済後これまでに合計23億レアル(約1100億円)に達した。
このような国内資本市場のストレスが、ブラジル株の指標ボベスパ指数を2008年12月以降81%押し上げた投資家の楽観ムードに水を差している。
コンプライアンス(法令順守)やリスクに関する助言サービスを提供する1982年創業のFTIコンサルティング(米メリーランド州ボルティモア)は「パナメリカーノの一件は警鐘となった」とした上で、「市場ブームの陰で信用の質低下のようなリスクが見過ごされている可能性がある」と指摘した。
信用リスクコンサルティング会社エクスペリアン(ダブリン)によると、11月のクレジットカードなど消費者向け融資の返済遅延は前年同月比23%増と、01年以来の大幅な伸びとなった。20カ国・地域(G20)で成長率4位のブラジルはまた、外国資本が大量に流入しており、インフレ率が5年ぶりの高水準に達している。
パナメリカーノ銀(サンパウロ)は、同行の経営権を持つバラエティショーの司会者シルビオ・サントス氏(80)から25億レアル(約1200億円)の融資を受けた。この救済措置が、同行の会計処理や融資債権購入、ABS業界全体を対象とする捜査につながった。
パナメリカーノ銀の株価は、10月13日に付けた今年の最高値から64%下落。ブルームバーグと米調査会社ビリニー・アソシエーツのデータによれば、ブラジルの金融株としては、遅くとも2000年から始まったボベスパ指数の上昇局面で最大の下落率を記録した。
パナメリカーノ銀の広報担当者は、捜査中の案件にはコメントしないとしている。サントス氏の経営会社グルポ・シルビオ・サントスの関係者に対して、業務時間後に電子メールと電話で取材を試みたが、これまでのところ返答がない。
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