2010年11月7日日曜日

香港投資会社 FX運用費200億円流用 日本で勧誘刑事告訴も

2010年10月27日

外国為替証拠金取引(FX)で運用し、月利3%以上の配当が得られるなどとして出資金を集めた中国・香港の国際投資事業会社が、運用資金をグループ企業の事業に流用していたことが26日、関係者への取材で分かった。グループ傘下の代理店が日本国内で組織的に出資者を勧誘し、被害額は200億円になるとみられる。現在は元金の返還にも応じていない状況が続いており、国際的な大型詐欺事件に発展する可能性が出てきた。
 
 出資者から被害相談を受けた東京弁護士会所属の弁護士は被害対策弁護団を結成。一部の出資者は投資会社やグループ企業、代理店への損害賠償請求の準備を進めており、詐欺罪や横領罪などでの刑事告訴も検討している。

 問題の投資会社は、香港に法人登記がある「121インターナショナル・インベストメント・リミテッド」。関係者によると、同社は自社で開発したFX自動売買ソフトを利用した資金運用により、複利が元本に毎日加算され、月利3%以上の配当が恒常的に得られるなどと説明し、日本国内にある複数の代理店を通じて多額の資金を集めたとされる。

 集めた資金の10~0・1%は「報酬」として代理店に毎月支払われる仕組みだが、新規に代理店が加入する際は上位代理店に加盟金を支払い、出資者らに販売しているソフトを活用するシステムの購入もしなければならない。こうした勧誘方法は、マルチ商法(連鎖販売取引)の形態ともよく似ていたという。

 代理店による勧誘は平成20年7月から始まり、当初は出資者への配当もあったが、今年4月以降は配当や返金が停止。今月に入り、同社最高責任者の林云(リンユン)氏が「運用資金を事業に流用し、資金がなくなった」と出資者らに説明し、トラブルが表面化した。

 弁護団代表の荒井哲朗弁護士は「ハイリスク・ハイリターンのFX取引で、恒常的に高い運用益があげられるとは考え難く、いずれ破綻(はたん)することを予測しながら短期間で集金することが目的だったとみられる」と指摘。各代理店は金融庁への登録を受けておらず、無登録で営業していた可能性もある。同社は平成17年に設立。東京や上海、シンガポールに支店があるが、香港の本社は営業の実体がなかったという。

詐欺疑い2月に口座凍結

 個人投資家から集めた200億円とも言われる運用資金はどこへ消えたのか。

 香港の投資会社をめぐる資金流用について、最高責任者の林氏は今月4日、中国・深せんで「2009年3月以降、運転資金を事業に流用し、事実を隠していた」と代理店関係者らに説明した。

 林氏によると、FXの販売コストがかさんだことに加え、詐欺行為の疑いで同社が香港警察当局の調査を受け、今年2月に銀行口座が凍結された。信用不安に陥った顧客からの出金が相次いだため、ファンドの運用を続けることができなくなったという。

 ただ被害弁護団の調査では、出資者の勧誘は日本国内でしか行われていなかったとみられ、集めた資金の大半は日本の代理店への報酬などの「経費」として流用していた可能性が高い。

 昨年末に400万円を投資したという東京都内の50代女性は「ファンドの有利性をうたう投資家のブログを見て始めたが、まさか自分が被害に遭うとは思わなかった」と憤り、元金の返還を求めて代理店に何度も問い合わせたが、まだ返金されていないという。

ttp://www.sankei-kansai.com/2010/10/27/20101027-045246.php

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