◎外国為替市場
ニューヨーク外国為替市場ではドルが円に対して8カ月ぶりの安値に下落。ユーロに対しても値下がりした。7月の米雇用統計で、非農業部門の雇用者数が予想以上に減少したことから、米経済には追加の刺激策が必要になるとの懸念が強まった。
モントリオール銀行のグローバル為替ストラテジスト、アンドルー・ブッシュ氏(シカゴ在勤)は「最初の反応はリスク売りで、円を買い、ドルと株を売る動きが進んだ」と指摘。米連邦公開市場委員会(FOMC)は「追加措置を講じるかどうかで、大変なプレッシャーを背負うことになるだろう」と述べた。
主要6通貨に対するドル指数は週間ベースで、2004年以来の最長となる9週連続の下落となった。世界最大の為替ヘッジファンド、FXコンセプツ(ニューヨーク)の会長を務めるジョン・テイラー氏は、世界経済がリセッション(景気後退)に逆戻りすれば、ドルは上昇するとの見方を示した。FOMCは来週に会合を開く。
ニューヨーク時間午後2時42分現在、ドルは円に対して前日比0.6%安の1ドル=85円33銭(前日は同85円82銭)。一時は85円2銭を付けた。これは昨年11月27日以来の安値で、この水準をその前に付けたのは1995年だった。ドルはユーロに対して0.8%安の1ユーロ=1.3289ドル。一時は同1.3334ドルと、5月3日以来の安値となった。ドルは円とユーロの両通貨に対して、週間では2週連続の下落となった。ユーロは円に対して0.2%高の1ユーロ=113円38銭。
◎米国債市場
米国債相場は上昇。2年債利回りは初めて0.5%を下回った。7月の米雇用統計で雇用者の減少幅がエコノミスト予想を上回ったのが背景。
週間ベースで国債は上昇。民間部門の雇用者数は予想ほど伸びず、市場参加者の間では米連邦準備制度理事会(FRB)による追加刺激策の観測が拡大した。世界最大の債券ファンドを運用する米パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)のビル・グロース共同最高投資責任者(CIO)は償還期限の長い国債購入を推奨し、米連邦公開市場委員会(FOMC)が最長3年の間は利上げを実施する可能性は低いとの見方を示した。
ロイヤル・バンク・オブ・カナダの米国債トレーディング責任者、トーマス・トゥッチ氏は、「目にする材料すべてが予想よりも弱い内容で、国債にとっては引き続き支援材料でもある」と述べ、「さらなる量的緩和策について大いに議論が交わされるだろう」と続けた。
BGキャンター・マーケット・データによると、ニューヨーク時間午後4時4分現在、10年債利回りは前日比8ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の2.82%。同年債価格(表面利率3.5%、2020年5月償還)は22/32上げて105 23/32。
2年債利回りは3bp下げて0.51%、週間では5bp下げた。この日は一時過去最低の0.4977%を記録した。
◎金先物市場
ニューヨーク金先物相場は8日続伸。ドルの対ユーロ相場が下げたことで代替投資先としての金への魅力が強まった。
ドルは一時1.1%下落。7月の米雇用統計がリセッション(景気後退)時に失われた雇用の回復には時間がかかることを示唆した。これを手掛かりにドルは売りを浴び、金は3週間ぶり高値に上昇。年初からの上昇率は10%となった。6月21日にはオンス当たり1266.50ドルと、過去最高値を付けた。
インテグレーテッド・ブローカレッジ・サービシズのヘッドディーラー、フランク・マギー氏(シカゴ在勤)は「ユーロに対するドルの下落は執拗に続いている。このたちの悪さは今年前半ではほかに見られない」と指摘。「米連邦準備制度理事会(FRB)が景気刺激のために一段の緩和策を取らざるを得なくなれば、金は急上昇するだろう」と語った。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物相場12月限は前日比6ドル(0.5%)高の1オンス=1205.30ドルで取引を終了。8日連続プラスは昨年11月以降で最長。一時は1213.30ドルと、中心限月としては7月15日以来の高値を付けた。
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