7月29日(ブルームバーグ):世界最大の債券ファンドを運用する米パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)のビル・グロース共同最高投資責任者(CIO)は、長短利回り格差が過去最高水準に近い中、債券を保有し続けることで残存期間が短くなり相場が上昇する「ロールダウン効果」によって利益を享受している。同時に投資家に対し、平均を下回るリターンに備えるよう呼び掛けている。
グロース氏は「最も魅力のある投資戦略は、イールドカーブ(利回り曲線)をにらんだポジション作りだと思う」と指摘。「短期金利がゼロかその付近にとどまっている限り、投資家は5年物米国債を買うだけで利益を上げることができる。残存期間が4年になるまで保有し続けた後、売却して値上がり益を上げ、再び5年物を買えばいい」と説明した。
ブルームバーグのデータによると、グロース氏が運用する投資ファンド「トータル・リターン・ファンド」(運用資産2340億ドル=約20兆3000億円)は、過去1年間のリターンが13%と同様のファンドの65%を上回っている。
グロース氏はまた、PIMCOが命名した「ニューノーマル(新たな標準)」の時代は、レバレッジの解消や再規制、脱グローバル化の影響で成長が鈍化するため、10%以上のリターンが繰り返される公算は小さいと指摘。投資家は今後数年間、債券と株式投資のリターンが4-5%程度になる環境に備えるべきだと語った。
グロース氏はまた29日、ブルームバーグテレビジョンの番組「ストリート・スマート」で、「追加の景気刺激措置の必要があるかもしれないが、必要なのは財政出動ではない」と指摘。その上で「FRBには量的緩和の再開や米国債の購入」のほか、政策金利をさらに長い期間ゼロ付近に据え置く方針を明確にして市場のボラティリティを抑えるなどの手段があるとの見方を示した。
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