6月20日7時55分配信 産経新聞
国際紙、インターナショナル・ヘラルド・トリビューンは19~20日付でミャンマー元政府高官の寄稿を掲載、同元高官は、ミャンマーと北朝鮮が国交回復(2007年)前の1990年代にすでに秘密の関係を結び、ミャンマーが北朝鮮からミサイル技術などの供与を受けていたと証言した。両国の秘密軍事協力の実態が明らかになった格好だ。(黒沢潤)
この元高官は、ミャンマー国防省の情報機関幹部や在米大使館幹部だったアウン・リン・フトゥット氏。米国に05年、亡命した。
ミャンマーと北朝鮮は1983年、北のテロで韓国の閣僚が爆殺されたラングーン事件を契機に国交を断絶した。だが、ミャンマーは92年、現・国家平和発展評議会議長のタン・シュエ氏が軍政トップの座に就くのに合わせ、北朝鮮と「秘密の関係」を結んだという。
背景には、ミャンマーで数百人が犠牲となった88年の反政府騒乱後、外国企業との合弁による武器生産が中止に追い込まれ、米国やインドへの対抗措置として兵器が必要だった事情があるという。ミャンマー政府は核兵器も欲していた。
北朝鮮はこの後、韓国ビジネスマンを装った要人らをミャンマーに派遣。フトゥット氏はヤンゴンの空港で、「特別な接待」を受ける要人を実際に見たという。北朝鮮はミサイル技術と引き換えに「ただちに」金を受け取ったが、それは、ミャンマーがタイに天然ガスを売って稼いだものだった。ミャンマー政府は現在に至るまで、ミサイルや化学兵器開発に従事しているとされる。
ミャンマーと北朝鮮とのこうした関係は、日本や韓国にも秘密にされた。天然資源獲得を目指す日韓両国から、一層の投資を呼び込む思惑があったという。
一方で、2003年秋、ミャンマーと北朝鮮との関係について調査を始めた米上院議員のスタッフが、駐米ミャンマー大使やフトゥット氏と面会するため、在米大使館を2度訪問したことがあった。しかし、タン・シュエ議長がフトゥット氏らに対し、「秘密関係」について米国にウソをつくよう指示。ウィン・アウン外相(当時)もパウエル米国務長官(同)に、疑惑を否定する書簡を送ったという。
ただ、英政府は真相を把握しており、同外相を「ウソつき」呼ばわりしていたという。
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