2010年5月31日月曜日

「カハ」がのしかかるスペイン金融→ユーロ売り材料に?

(抜粋)
2010年5月25日(火)10:40 外為どっとコム総研

「スペイン中銀が同国貯蓄銀行カハスールを公的管理下へ」とのニュースですが、昨日のユーロ売りの手掛かり材料となりました。

スペイン中銀は、この10年間の同国の住宅ブームで融資を5倍余りに伸ばしている地方の相互貯蓄銀行に合併を促しています。「カハ」と呼ばれるスペインの貯蓄銀行は同国銀行業務のほぼ半分を占めているそうですが、サパテロ首相は過半数が金融危機によって非常に弱体化しており、合併の必要性を指摘してました。また、オルドネス中銀総裁は合併を拒否する銀行には介入すると警告しています。

米紙ウォールストリートジャーナル(WSJ)によると、カハスールの場合、取締役20人中過半数がカトリック教会関係者で占められ、うち6人が神父で、かつ会長は神父が勤めていました。
中銀が公的管理下に置くとの警告を事前にしていたにもかかわらず、カハスールの取締役会は「人員削減と賃金カットについて意見が一致しない」との理由で同業のウニカハとの合併案を拒否。こうした流れの中でカハスールは公的管理下に入ることとなりました。これは、1年ほど前に導入された、公的資金による銀行救済計画に基づく初の介入です。

カハは多くは各地の政治的有力者が支配しており、既得権益化しているようです。これが組織再構築を困難にしている模様です。すでにいくつかの合併話は地方政府に阻止されているとか。ただ、実際にスペイン中銀による介入が始まったことで、こうした強制合併の波はこれから大きくなるのかもしれません。

24日、IMFはスペインの銀行セクターについて
・健全だが依然として圧力にさらされている
・再編ペースが遅すぎる

として強い懸念が表明しています。これも中銀による銀行セクターの介入圧力を高める材料になりそうです。
ただ、こうなってくると、スペインの財政赤字懸念が一層強まります。また、スペインの失業率は2010年第1四半期は20.05%にまで上っており、銀行セクター再編で失業率に上昇圧力がかかる可能性もまた指摘されます。これらはユーロの売り材料となってきくると思われます。。。

なお24日、「カハメディテラネオ」「グルポ・カハストゥール」「カハエクストレマドゥラ」「カハカンタブリア」の貯蓄銀行4行は事業統合計画をスペイン中銀に提出しています。実現すれば、資産1350億ユーロ超の、同国5位の金融グループが誕生することになります。


【東京バサラ】
「カハ」と呼ばれるスペインの貯蓄銀行はむしろ無尽講に近く、株式会社でも無いことから決算も公開していません。10兆円に上ると見られる不良債権の処置にスペインが乗り出します。

0 件のコメント: