4月16日(ブルームバーグ):ドイツは今後数年の間にユーロ統一通貨圏からの離脱を検討する可能性がある。ギリシャ危機がユーロ圏を「放漫財政」地域としてしまう恐れがあるためだと、モルガン・スタンレーが指摘した。
モルガン・スタンレーの世界共同チーフエコノミスト、ヨアヒム・フェルズ氏(ロンドン在勤)は14日付のリポートで、ギリシャ支援策は「他のユーロ参加国に対し悪しき前例を示した。ユーロ圏が放漫財政地域へと退化していく可能性を高めた」と指摘し、「その場合、ドイツなど物価安定を強く重視する国は、小規模ながら堅固な通貨連合の方が好ましいとの結論に達するかもしれない」と分析した。
さらに、「ユーロ救済が他のユーロ圏諸国に教えるのは、財政安定成長協定からどれほど大きく外れても、本当に必要になれば金融支援が与えられるということだ」とし、「これは欧州に深刻なモラルハザード(倫理の欠如)をもたらす。ギリシャ以外の諸国の財政悪化の可能性は高まった」と書いている。
同氏はユーロ圏の分裂はモルガン・スタンレーの予想の中で「中心的シナリオ」ではないものの、リスクは「決して無視できない程度に高い」と説明した。
元国際通貨基金(IMF)チーフエコノミストのサイモン・ジョンソン氏は12日、ポルトガルについても「予防的な」支援策を準備するべきだとの考えを示した。
フェルズ氏は、救済策は短期的にはギリシャの流動性リスクを減らしたものの、同国の支払い能力に関する長期的なリスクは依然、「厳然と存在する」とし、「最近の展開はユーロ圏解体の長期的リスクを大幅に高めた」との見解を示した。ギリシャ支援合意は必要だったとしながらも、「そのような行動の意図せぬ結果は、将来に起こるより大きな問題の種をまいたことかもしれない」と指摘した。
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