3月24日(ブルームバーグ):ニューヨーク外国為替市場ではユーロが対ドルで10カ月ぶり安値に下落。格付け会社フィッチ・レーティングスがポルトガルの格付けを引き下げたことから、ギリシャの財政問題が欧州内の他国にも波及するとの懸念が再燃し、ユーロ売りがかさんだ。
ユーロは主要16通貨のうち12通貨に対して下落。ドイツ、フランス両国首脳がギリシャ支援では国際通貨基金(IMF)の協力が不可欠との見解で一致し、欧州連合(EU)への信頼感が損なわれた。ドルは対円で10週ぶりの高値に上昇。スイス・フランは対ユーロで最高値近辺で推移した。スイス国立銀行(SNB、中央銀行)がフラン上昇を抑制する政策を放棄しつつあるとの観測が材料。
ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループ(RBS)の為替戦略責任者、アラン・ラスキン氏は、「フィッチの格下げはユーロの新たな売り材料となった」と述べ、「今は少なくとも2件のニュースが進行している。ギリシャがどうやって資金を確保するか、そして別件ではポルトガル関連のニュースがある」と述べた。
ニューヨーク時間午後3時37分現在、ユーロは対ドルで1.2%下げて1ユーロ=1.3335ドル、前日は1.3499ドルだった。この日は一時、1.3322ドルと、昨年5月7日以来の安値まで下げる場面もあった。ユーロは対円では0.7%高の1ユーロ=122円88銭(前日は122円3銭)。ドルは対円で1.9%高の1ドル=92円15銭(前日は90円40銭)。一時は1月12日以来の高値92円23銭をつけた。
ポルトガル格下げ
フィッチは、ポルトガルの信用格付けを1段階引き下げ「AA-」とした。フィッチの24日の発表によると、見通しは「ネガティブ」。フィッチはポルトガルの1人当たり国内総生産(GDP)およびトレンド成長率が標準的な「AA」格付け国に比べ「かなり低い」とした。
米経済調査会社A・ゲーリー・シリングのシリング社長は24日、ブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、ギリシャは「スローモーションで脱線転覆に向かっている」とし、恐らくスペインがユーロ圏の次の財政危機を引き起こすだろうと語った。
ドイツ、フランス両国は、ギリシャ支援におけるIMFの役割を支持することで一致した。ドイツ財務省当局者がベルリンで23日、匿名を条件に明らかにした。
スイス・フラン
スイス・フランは一時、対ユーロで最高値を更新。前日は初の1ユーロ=1.43フランの水準を上回った。SNBのヒルデブラント総裁は、フランの「行き過ぎた」上昇に対抗する用意があると繰り返し述べているが、フランの売り材料になっていない。SNBのヨルダン副総裁は24日、ベルンでの講演後に「デフレリスクにつながることから、スイス・フランの行き過ぎた上昇は容認できない」と述べた。
スイス・フランは過去2週間、ユーロに対し2.4%値上がりしている。この日は1ユーロ=1.4296フラン。前日から0.2%下落した。一時は1.4233フランの最高値を付けた。
円安・ドル高基調に転換か
BNPパリバの為替ストラテジスト、アンドルー・シャベリア氏(ニューヨーク在勤)はブルームバーグとのインタビューで、ドルは対円で5月末までに1ドル=99円84銭に上昇する可能性があるとの見解を示した。2007年6月22日に記録した124円13銭の高値を起点とする長期トレンドラインである91円85銭を上回ったのが理由だ。
シャベリア氏はフィボナッチ数列を用いたテクニカル分析を基に「週間ベースでその水準を上回った場合、市場参加者は強気トレンドへの反転について一段と自信を持つだろう」と述べ、「最低でも23.6%戻しに相当する94円10銭をつけるだろう。さらに現実的に言えば38.2%戻しを試すケースも多く、100円を目指すだろう」と続けた。
0 件のコメント:
コメントを投稿