2月26日7時56分配信 産経新聞
【ロンドン=木村正人】南大西洋の英領フォークランド(アルゼンチン名マルビナス)諸島沖で英企業が油田探査を始めたため、アルゼンチンのタイアナ外相は24日、ニューヨークの国連本部で潘基文事務総長と会談、調停を要請した。同諸島をめぐっては1982年に英国とアルゼンチン間で紛争が勃発(ぼっぱつ)、英国が勝利したが、領有問題は今もくすぶり続ける。英国は「主権」をタテに調停に応じない方針で、中南米諸国は「先進国の横暴」と反発している。
英企業は22日、同諸島から北100キロの海域で油田・ガス田の探査を開始。同海域では98年の探査で油徴が確認されたが、試掘や採掘に莫大(ばくだい)な費用がかかるとして開発計画は見送られた。この間、原油価格は当時の1バレル10ドルから80ドル前後に上昇。同諸島周辺の海底には最大35億~80億バレルの原油、天然ガスが埋蔵されている可能性があるという。
アルゼンチンは95年領有問題を棚上げし、将来海底資源が採掘された場合、収入を分けることで英国と合意したが、07年にキルチネル大統領(当時)が破棄。
妻のフェルナンデス現大統領も今月16日、同国と同諸島間を往来する船に航行許可の取得を求める大統領令を発令し、「国際法を無視して自分勝手な判断を他国に押しつけている」と英国の対応を非難した。来年の大統領選を控え、弱腰は見せられないという国内事情もある。
領有問題が存在する海域の権利について当事国は国連に調停を要請できるが、一方が応じない場合、調停は開始できない。ミリバンド英外相は「英国に主権があるのは明白」と調停要請を拒否している。
中南米カリブ海地域の32カ国首脳は23日、アルゼンチンの主権主張を支持、領有権確定のため早急に2国間協議に入るよう英国に求めた。
アルゼンチンは外交ルートで問題解決を目指すとしているが、海事問題の専門家は英紙フィナンシャル・タイムズに「両国間で共同開発と収入配分について協議するのが現実的な解決策だ」と指摘している。
0 件のコメント:
コメントを投稿