1月29日(ブルームバーグ):ポールソン前米財務長官によれば、ロシアは2008年に米住宅公社のファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)債とフレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)債を売ることを中国に勧めた。米政府による救済を迫るためだったと、前長官は回想録で振り返った。
回想録「オン・ザ・ブリンク(原題)」によると、ポールソン前長官は北京五輪で中国を訪れていた時にこの「秩序を乱す計画」について知った。
ロシアが「トップレベルで中国に接近し、米住宅公社債の大規模売却で足並みをそろえ、米政府が緊急権限を発動して両社を支えざるを得ないようにする」ことを呼び掛けたという。ポールソン前長官によると、中国はこれを拒否した。
ロシアと、米国の友好国であるグルジアの5日間戦争は北京五輪開幕と同じ08年8月8日に勃発した。ロシアのプーチン大統領のペスコフ報道官によれば、同大統領は開会式のさなかに「戦争が始まった」とブッシュ米大統領(当時)に告げたという。
ポールソン前長官は「この話は大きな不安をもたらした。住宅公社債が売り浴びせられれば公社への信頼が揺らぎ資本市場を不安定にしかねなかった」と振り返る。「米国に戻るのを待って大統領に密かに伝えた」という。
ペスコフ報道官は29日電話で、米国の債券を売ることについて中国に接触したことはないと述べた。
ロシアは08年中に、年初には656億ドル相当を保有していた米住宅公社債をすべて売却した。ファニーメイとフレディマックは同年9月6日に政府管理下に置かれた。
回想録の正式な発売日は2月1日。ブルームバーグ・ニュースはこれに先立ちニューヨークの書店から1冊購入した。
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