1月22日(ブルームバーグ):金融機関の自己勘定トレーディングを制限するオバマ米大統領の案は、ゴールドマン・サックス・グループとモルガン・スタンレー、クレディ・スイス・グループ、UBS、ドイツ銀行の5行の来年の収入を合計で130億ドル(約1兆2000億円)押し下げる可能性がある。JPモルガン・チェースが試算した。
キアン・アボホセイン氏(ロンドン在勤)らJPモルガンのアナリストは22日付のリポートで、5社の中ではゴールドマンへの影響が最も大きく、2011年の影響は46億7000万ドルと見積もった。影響が最も小さいのはUBSで19億2000万ドル規模と概算されている。
リポートでは、ゴールドマンは自己勘定投資事業が脅かされ、リスクが高いと指摘した。
各国政府は銀行・保険業界への規制を強めている。オバマ大統領は21日、銀行の規模を制限しヘッジファンドやプライベートエクイティ(未公開株)ファンドへの投資を禁じる新規制案を発表した。
スイスカント・アセット・マネジメントで運用に携わるフロリアン・エスタラー氏は「発表される措置の1つ1つが徐々に銀行、特に投資銀行の株主資本利益率(ROE)を押し下げていくと思われる」とし、今回の発表は「初期の警告にすぎないだろう」と話した。
また、ロンドンのカス・ビジネス・スクールの金融学上級講師、アリステア・ミルン氏は「英銀のなかではバークレイズが最大の打撃を受けるだろう。自己勘定トレーディングへの依存が大きいからだ」と指摘。「リーマン・ブラザーズの米事業買収はそれが目的だった」と付け加えた。
クレディ・スイス、ドイツ銀、ゴールドマン、UBSの広報担当者はオバマ大統領案についてコメントを控えた。モルガン・スタンレーの広報担当者には連絡が付いていない。
1月22日(ブルームバーグ):ニューヨーク金先物相場は下落。オバマ米大統領が提唱した銀行のリスクテーク制限案で、商品への投資需要が後退するとの見方から、金は1カ月ぶり安値を付けた。
JPモルガンはオバマ大統領が打ち出した金融機関の自己勘定トレーディング制限案の影響で、ゴールドマン・サックス・グループの2011年の収入が推定46億7000万ドル押し下げられるとのリポートを発表。バークレイズ・キャピタルの調査によると、2009年には600億ドルの投資資金が資源に流入した。商品相場は昨年、1979年以来の大幅高となった。
MFグローバルのアナリスト、トム・ポーリッキ氏(シカゴ在勤)は、「銀行取引を制限するオバマ大統領の提案でリスク投資ができなくなれば、金にマイナスとなる可能性がある」と指摘。「この1年間、金はリスク投資に連動して上昇してきた。だが、昨日のオバマ大統領の提案で、投資資金は金と株ではなく、米国債に向かった」と語った。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物2月限は前日比13.50ドル(1.2%)安の1オンス=1089.70ドルで取引を終了。週間ベースでは3.6%下げた。
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