CO2を「金のなる穀物」に-米農家、気候変動対策法に期待(2)
3日26日(ブルームバーグ):レックス・ウーリン氏はトウモロコシと大豆を栽培している。米ネブラスカ州ウィルコックスでは、農業経営者らが2007年に新しい商品の生産を開始した。二酸化炭素(CO2)である。
ウーリン氏は保有する800エーカーの農地を耕さないことにより、地中や空中への年間推計470トンのCO2の排出を抑制。シカゴ気候取引所で売却できるCO2排出枠を獲得した。最初、近隣の農業経営者たちは半信半疑だった。
ウーリン氏は「近所の人たちには環境保護論者と呼ばれた。だから、最初にもらった小切手を見せたのさ」と語る。
ウーリン氏にはシカゴ気候取引所が実施するCO2取引の試験的なプログラムから年間約3000ドル(約29万5000円)が支払われる。大きな額ではないが、米議会が全米規模の温暖化ガス削減義務付けを検討するなか、同プログラムはウーリン氏にさらに高額の利益をもたらす可能性がある。
オバマ米大統領と議会の民主党リーダーらは、政府が発行する排出枠を企業に配分することにより、地球温暖化を抑制する「キャップ・アンド・トレード方式」を支持している。将来、許容される排出量が減少すれば、企業は排出量を削減するか排出枠を購入する必要が出てくる。風力や太陽光発電などのクリーンエネルギー技術を採用する事業は、排出枠を売却し利益を上げることができる。
農業を主産業とする一部の州の議員や農業団体は、ウーリン氏のような農業経営者もCO2排出枠の創出が可能になる政策を望んでいる。環境に配慮した農業技術を採用したり、植林したりする農業経営者は、カーボン・オフセット(CO2の相殺)によって排出枠を獲得し、政府が配分する排出枠同様に市場で売却することができるようなる可能性がある。
「新たな収入源」
ビルサック米農務長官は、CO2が「従来の農業支援のあり方を変える」可能性のある「新たな収入源」になるとみている。
シカゴ気候取引所は現在、任意のCO2排出削減に合意している自動車大手フォード・モーターや電力会社のアメリカン・エレクトリック・パワーなどの企業に農家が排出枠を供給する試験的プログラムを実施している。シカゴ気候先物取引所は昨年11月、キャップ・アンド・トレード方式の義務付けが法制化された場合に利用可能な先物の取引を開始した。
ノースダコタ州農民組合は、農業関連のCO2排出枠を最も多く獲得している。同組合のロバート・カールソン代表によると、組合員3900人がこのプログラムに参加しており、参加者には今年、計約900万ドルが支払われる予定だ。
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