1月5日(ブルームバーグ):リセッション(景気後退)による米国株安を昨年予言したウォール街の著名ストラテジスト、バイロン・ウィーン氏は、今年は景気回復に伴ってS&P500種株価指数が33%反発すると予想する。
ヘッジファンドのピーコット・キャピタル・マネジメントのチーフ市場ストラテジストを務めるウィーン氏(75)は今年で24年目となった恒例の「今年のびっくり10大予想」の中で、S&P500種が1200に上昇し、金相場は1トロイオンス=1200ドルと過去最高値を付けると指摘。原油相場も1バレル=80ドルに上昇するとの見通しを示した。
ウィーン氏は、「今年7-12月(下期)の米景気回復期待の広がりを受け、投資家の落胆やヘッジファンド・投資信託の解約による底から市場は回復する」と予測。「市場の合言葉は『富は失われた』から『富はまだ作られ得る』に変わる」と指摘した。
1年前のウィーン氏の10大予想には、S&P500種の10%の下落や2001 年以降初の米景気のリセッション入りなどが含まれていた。実際には、S&P 500種は昨年、金融株やエネルギー関連株などの急落を受けて、前年比38%安と1937年以来最大の下げを演じた。全米経済研究所(NBER)は昨年12月1日、リセッションが07年12月に始まったと発表した。
元モルガン・スタンレーのシニア市場ストラテジストで05年12月にピーコットに移籍したウィーン氏は、これまでの自身の予測は半分以上が当たったと述べている。01年1月には、同氏はリセッションを予想しており、2カ月後にはインターネット・バブルが終了。当時10年ぶり高水準の6.5%だったフェデラルファンド(FF)金利誘導目標についても同氏は連続利下げを予想しており、実際に当局は01年1月3日に緊急利下げを実施した。
当たりと外れ
ブルームバーグが調査対象としているウォール街のストラテジストの今年のS&P500種予想は17%上昇で、03年以来最大の株高の年になると見込まれている。ウィーン氏は1200とみており、UBSのデービッド・ビアンコ氏の1300 に次ぐ強気予想だ。
昨年の10大予想で外れたものとしては、ドルが年前半に上昇し、後半に下落するという見方で、実際には前半下落、後半持ち直すという逆の動きとなった。原油相場見通しも、昨年の早い時期に下落し後半に上昇するという見方は外れ、原油先物相場は7月に最高値を付けて12月19日には高値から77%安の水準に落ち込んだ。
09年の見通しでは、米財務省による金融支援のための「多額の借り入れ」の結果として、ドルが「深刻な下降局面」を迎えると分析。ドルは対ユーロで過去最安値の1.65ドル、対円で75円に下落する可能性があるとした。10年物米国債利回りは、デフレ懸念ではなくインフレ懸念の台頭により、4%に上がるだろうとの見方を示した。
このほか、中国の景気と株式市場の回復や、税収減に直面するニューヨークなどの州の財政破たん懸念を受けた連邦政府からの地方自治体支援、住宅着工件数の秋の底入れを予想した。
昨年は、バラク・オバマ氏の米大統領選挙勝利と民主党の上下両院での過半数獲得を予想し、的中させた。
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