原油はOPEC注目、金は900ドル超え目安=エース交易 岩井正道・ホームトレード部商品担当部長 東保明・石油法人部課長
――直近の原油価格は1バレル=40ドル台まで急落しています。今後の見通しは?
東:石油先物価格を見ると、概ね期近限月から期先に行くほど値段が上がっているのですが、最近その幅が非常に大きく広がっています。原油市場でも同じ現象が起こっており、いずれ幅の拡大がピークを迎える可能性があり、大型原油船で洋上備蓄する動きも出始めており、価格の転換に結び付くかもしれません。在庫するコストをはるかに超える先高となっているわけで、合理的な動きをするならば、速やかに裁定が働き、期近高・期先安傾向に転じるわけです。
――原油価格が底入れする兆しが見えるかもしれないということですね?
東:ただし、まだ予断を許さない状況が続いていることに変わりはありません。12月17日に開催されるOPEC(石油輸出国機構)定例総会に注目したいところです。10月の臨時総会では日量150万バレルの減産が決定されましたが、今回更なる減産が決まるのか? イニシアチブを握るサウジアラビアの言動からは追加減産決定か据え置きかの両方があり得るでしょう。据え置きや小幅減産決定の場合はロシアOPEC加盟とか何かサプライズ的なことがあるかもしれません。OPEC加盟国の思惑は一枚岩ではなく、サウジアラビアは必ずしも原油高を望んでいないふしもあります。石油価格が上がって需要が長期低迷することはむしろマイナスだと考えるからです。
とはいえ、冬場を過ぎて原油需要が減少する春先以降、安値のまま供給し続けることは原油収入が大きく減ることに結び付きますから、1-3月にかけて価格が反転上昇する可能性はあるかもしれません。また世界景気動向による石油需要減少度合も注視が必要です。
――金価格についてはいかがでしょうか?
岩井:金価格は原油や穀物の価格ほど大きくは下がっていません。ニューヨーク金は1トロイオンス=700ドルで下げ止まり、750から800ドルと水準を切り上げています。原因のひとつは、ドル安・株安を受けて、より安全な現物通貨である金の魅力が再認識されているからです。このところ金貨(コイン)の品薄状態が続いていることが、それを象徴しているといえるでしょう。小口で買えるコインや純金積立の人気が高まっているようですね。日本だけでなく、世界的に金融商品や不動産などの価格が軒並み下落する中で、金を求める人が増えています。
――今後の金価格の見通しは?
岩井:来年1月20日に就任するオバマ次期米大統領の政策にもよりますが、米経済が回復軌道に乗れば、金価格は2010年1-2月ごろまで上昇が続く可能性もあります。上値抵抗線である1トロイオンス=900ドルを上抜けできるかどうかが大きなポイントですね。しかし、オバマ政権誕生後も米国が不況から抜け出せないようであれば、金価格にもマイナスの影響を及ぼすかもしれません。(取材・文責:サーチナ・メディア事業部)
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