2011年8月27日土曜日

バーナンキ米FRB議長のジャクソンホール会合での講演要旨

ロイター 8月27日(土)0時58分配信

 [ジャクソンホール(米ワイオミング州) 26日 ロイター] バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長は26日、米ワイオミング州のジャクソンホールで講演を行った。発言内容は以下の通り。

 <経済成長、インフレ見通し>

 上半期の経済成長が連邦公開市場委員会(FOMC)の予想よりもかなり緩やかで、一時的な要因では景気の弱さのごく一部しか説明できないことを最近のデータは示唆している。このため、FOMCは今後数四半期の成長ペースの見通しを引き下げた。ただ、緩やかな回復は続き、徐々に強さを増すと予想している。

 商品(コモディティー)価格やその他の重要な物価が穏やかになり、長期のインフレ期待が引き続き安定する中、インフレ率は今後数四半期で、FRBの二重の責務に合致すると大半のFOMCメンバーが考える2%程度またはそれを下回る水準に落ち着くと予想している。

 <先のFOMCでの政策決定の意味>

 FOMCは、低水準の資源活用や抑制された中期インフレ見通しなどの経済状況により、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を少なくとも2013年半ばまで異例の低水準に維持することが正当化される可能性が高いとの認識を示した。これはつまり、FOMCとして最も可能性が高いと判断する資源活用や中期インフレのシナリオにおいて、FF金利の誘導目標が少なくとも今後2年にわたり現在の低水準に据え置かれるということだ。

 <FRBが有するその他の手段>

 将来のガイダンスを調整することに加え、FRBは追加的な金融刺激に使うことができる一連の手段を有している。われわれは8月の会合で、これらの手段の相対的な利点とコストについて協議した。われわれはさらに徹底的に議論するために、9月の会合日程を当初の1日から2日間(9月20日─21日)に延長し、これらの手段および経済・金融動向を含むその他の関連問題について引き続き協議する。

 FOMCはこれからも入手するデータに基づき経済見通しを判断する。また物価安定の上で一段と力強い景気回復を促進するために適切な手段を講じる用意がある。

 <市場のボラティリティー>

 金融ストレスは国内外で回復に対する大きな足かせとなってきたが、今も足かせとなり続けている。

 このところ市場では再びボラティリティーが高まり、リスク回避の動きが出ている。これは欧州諸国のソブリン債に対する懸念、および大手格付け機関の1つによる米長期信用格付けの引き下げ、米国の連邦債務上限引き上げをめぐる議論を含む米国の財政状況に対する懸念を反応したものだ。

 これらのことが経済活動にこれまでどの程度影響を及ぼしてきたかを判断するのは難しい。ただ家計と企業の信頼感を損ね、成長に対する継続的なリスクとなっていることに疑いの余地はほとんどないだろう。

 FRBは金融市場および各機関の動向を引き続き緊密に注視し、欧州をはじめその他の地域の政策担当者と頻繁に連絡を取り合っている。

 <長期的な経済成長見通し>

 時間を要する可能性はあるが、われわれは成長率および雇用水準がこれらの基調ファンダメンタルズと一致する水準に回復すると合理的に予想できる。現在直面している深刻な課題にもかかわらず、私は米経済の長期的な成長余地が危機やリセッション(景気後退)により著しく影響を受けるとは見込んでいない。ただこれは、そのために必要な措置を米国が講じればとの仮定に基づくことを強調したい。

 <金融・財政政策が及ぼす影響>

 通常は短期的な経済回復ペースの加速を主な目標とする金融政策もしくは財政政策が、長期的な経済のパフォーマンスに大きな影響を及ぼすとは期待されていない。

 ただこうした標準的な見方からすると、現在の状況は例外的である可能性がある。 

 米国の経済政策運営は、国の長期見通しに大きく影響する。経済が潜在能力を完全に発揮して成長できるようにするには、マクロ経済・金融の安定促進、税制・貿易・規制に関する効果的な政策の導入、官民両セクターにおける生産的な投資の促進、革新技術の導入に向けた研究・開発(R&D)の適切な支援に政策担当者は注力する必要がある。

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