11月16日(ブルームバーグ):ジョン・ポールソン氏率いるヘッジファンド会社のポールソンは、7-9月(第3四半期)に米銀のバンク・オブ・アメリカ(BOA)とウェルズ・ファーゴ、シティグループの株式保有を縮小した。規制改革や住宅差し押さえ手続き上の不備をめぐり銀行の収益悪化懸念が広がったことが背景にある。
15日に監督当局に提出された書類によると、ポールソン(運用資産330億ドル=約2兆7400億円)は保有するBOA株の約18%に相当する3000万株を売却した。これにより9月末のポールソンのBOA株保有額は18億ドル相当となった。BOA株は第3四半期に8.8%下落した。
シティグループ株の保有は16%縮小し、9月末時点の保有額は17億ドルとなった。ウェルズ・ファーゴ株の保有は11%減らし、9月末時点の保有株数は1550万株、保有額は3億8900万ドル。JPモルガン・チェース株の保有は29%減らし、保有額は1億9000万ドルとなった。年央に約1億4440万ドル相当保有していたゴールドマン・サックス・グループ株は全額売却した。
銀行の資本基準の厳格化やトレーディング規制が響き、ゴールドマンやシティなど米銀の第3四半期総収入は減少した。また、一部の大手住宅ローン会社の従業員が正確性を確認せずに差し押さえ書類に署名した事実が裁判書類で表面化したことから、BOAなどの銀行は差し押さえ手続きを一時停止した。コンパス・ポイント・リサーチ・アンド・トレーディングの調査担当バイスプレジデント、クリス・ガマイトニ氏によると、銀行は証券化された住宅ローン債権最大1792億ドル相当の買い戻しを迫られる可能性があるという。
バール・アンド・ゲーナーのポートフォリオマネジャー、マット・マコーミック氏は「ポールソンが第3四半期にウェルズ・ファーゴとBOAの保有株を売却したのは、差し押さえ手続きをめぐる騒動への対応だ」との見方を示した。
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