2010年8月23日月曜日

ドラッケンミラー氏引退、デュケーヌ閉鎖-運用キャリア30年の凄腕

8月18日(ブルームバーグ):著名ヘッジファンド運用者のスタンレー・ドラッケンミラー氏(57)は、自身が率いる運用会社デュケーヌ・キャピタル・マネジメントを閉鎖し、30年に及ぶキャリアに終止符を打つ。同氏はヘッジファンド業界では長期投資で最高の実績を築いた1人であり、またポンド売りを仕掛けジョージ・ソロス氏に10億ドルをもたらしたことで知られる。

  ドラッケンミラー氏は、他人のために資金を運用するストレスに嫌気が差したほか、1986年以降で年平均30%というリターン(投資収益率)をここ3年間達成できていないことに不満を感じていると語った。デュケーヌ・キャピタル(運用資産120億ドル)の今年の運用成績は5%のマイナス。これまで成績がマイナスとなった年はなかった。

  同氏はニューヨークのマンハッタンにあるオフィスでのインタビューで、「100億ドルを超える資産を運用するのは、投資パフォーマンスに対する私の長期的なスタンダードから見て難しいもののように思われる」と言及。「この30年間、私は顧客の資産運用を担当してきた。それは喜びをもたらしたが、どこかの時点で先に進む必要がある。30年やれば十分だ」と語った。

  ドラッケンミラー氏は18日付の顧客あて書簡で、「顧客のために勝負に勝つ喜びは非常に大きなものだが、ここ何年もの間に経験した、一時的な不振からくる失望感が積み重なって私には大きな打撃となり、これ以上持ちこたえることができなくなっている」と記した。

  ドラッケンミラー氏は、いち早くマクロ経済の材料を見抜き、大きく賭けに打って出ることで名声を築いた。この投資手法は、ブルース・コブナー氏、マイケル・スタインハート氏、またドラッケンミラー氏の元上司でもあるソロス氏のような著名投資家に共通して見られるものだ。デュケーヌ・キャピタルの閉鎖決定は、大規模なヘッジファンドが300億ドルの資産を運用し、さらに資産が膨らむような時代には、もはや従来型のファンドを大きく上回るパフォーマンスを容易には達成できないことを示唆している。

  デュケーヌ・キャピタルの08年のリターンは約11%。同年のヘッジファンド全体での平均は、過去最悪のマイナス19%だった。09年にはデュケーヌのリターンは約10%。一方ヘッジファンド全体の平均は20%だった。

  ドラッケンミラー氏は「08、09年には多くの好機を逃した気がした。今年の債券の大きな動きもそうだ」と振り返る。過去3年間の同氏のリターンは、運用資産規模がデュケーヌの資産の約半分のポートフォリオマネジャー10人のリターンを下回った。

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