2010年6月24日木曜日

エミレーツ航空の巨額投資、航空業界は騒然-勢力図塗り替えなるか

6月23日(ブルームバーグ):国際線運航で世界最大の航空会社、アラブ首長国連邦(UAE)ドバイ首長国のエミレーツ航空の巨額の投資に、欧州とアジアの航空業界では動揺が生じている。アイルランドのライアンエア・ホールディングスや米サウスウエスト航空が市場シェアを拡大したように、長距離航空会社の勢力図を塗り替える可能性がある。

  設立25年のエミレーツは、エアバスの超大型旅客機「A380」90機で4万5000人分の座席数を築きつつある。エアバスによると、A380の運航コストはボーイングの最新型747を12%下回るという。英ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)のウィリー・ウォルシュ最高経営責任者(CEO)はインタビューで、エミレーツの拡大戦略は同様の長距離輸送サービスに特化している欧州の航空会社にとって脅威だと語った。

  エミレーツは今月、総額110億ドル(約9900億円)相当のA380型機32機を発注。同社のA380保有機数は他社を70機以上引き離し、コストに敏感な旅客をドバイから世界各地に大量に送り込むことが可能となる。ドイツのルフトハンザ航空や仏蘭系エールフランス‐KLMグループ、シンガポール航空などには試練となる。これらの競合航空は、政府保有のエミレーツは有利であり、購買力でこれに太刀打ちできないと批判している。

  ルフトハンザのウォルフガング・メイルーバーCEOは、「エミレーツの座席数がすでにエールフランスとBAの合計を上回っているのは奇跡だ」と述べ、「世界有数の経済国に拠点を置く当社が747型機30機を運航するのに40年かかかった」と続けた。

  エミレーツは、2000年の国際航空会社ランキングでは24位で、その1年後に破たんしたベルギー国営のサベナと並んでいた。国際航空運送協会(IATA)によると、エミレーツはこれ以降に旅客輸送能力(座席数に輸送距離を掛けて算出)を6倍に増やし、昨年はルフトハンザを抜いてトップとなった。2000年にトップだったBAは同期間に旅客輸送能力が5%減少、昨年は4位に落ち込んだ。

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