3月5日(ブルームバーグ):財務省は外国為替市場での介入資金の原資となる外国為替資金特別会計の借入限度枠を現行の140兆円から5兆円引き上げ、145兆円に拡大する。内外金利差に伴う運用益の増加が主な要因で、2010年度予算案に盛り込んでいる。同省関係者がブルームバーグ・ニュースに明らかにした。
外為特会では過去の円売り介入で取得した外貨資産の利子収入などの運用益を例年、3兆円程度確保しており、ほぼ同額の政府短期証券を発行して円資産に転換し、うち一部を積立金、残りを一般会計に繰り入れている。10年度予算案では、財源確保のための特例措置として2.5兆円全額を一般会計に繰り入れている。
これまで円売り介入時に発行した政府短期証券に、運用益分の追加発行を加えた総額は08年度決算の段階で106.9兆円、09年度末には110.3兆円に上る見通し。これに将来の介入の可能性に備えて過去の年間最大の介入額約32兆円(03年度)を足して試算すると140兆円を超えるため、限度枠拡大に踏み切った。
限度枠の引き上げは大規模介入を断続的に実施していた最中に編成された04年度予算で100兆円から140兆円へ大幅増額して以来だが、04年4月以降の介入実績はゼロ。財務省は今回の措置について、あくまでも外為特会の運用上の理由としている。
同省が5日発表した外貨準備高は今年2月末現在で1兆510億7900万ドル(約93兆円)。保有資産とほぼ同額の負債が存在するという、外為特会の問題点を浮き彫りにしたともいえる。
JPモルガン・チェース銀行の佐々木融チーフFXストラテジストはブルームバーグ・ニュースに対し、「今回の措置は全く介入と関係ない。会計上のテクニカルな話だろう。介入に対する可能性や、それに対する姿勢とかは全く関係がない」と指摘。
さらに「規模が膨らみ、大きな為替リスクと金利リスクを抱えている外為特会をさらに積み上げることはしないだろう」とし、「介入の可能性は極めて低い」との見方を示した。
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