3月30日(ブルームバーグ):日本銀行は30日午後、「中国経済が資産市場の調整などをきっかけに、大幅に変動するようなことがあれば、世界経済に対して無視し得ない影響を及ぼす可能性も考えられる」とするリポートを公表した。
リポートは「最近における中国の不動産価格の上昇について」と題し、北京や上海では「住宅の平均販売価格が世帯年間可処分所得の20-30倍に達している」と指摘。現在の中国での不動産価格の急速な上昇には「将来の値上がりを見越した投機的な購入も影響している可能性がある」としている。このような不動産市場の過熱感に対し、中国政府は過熱抑制に向けた施策を矢継ぎ早に導入している。
リポートは①現在の中国の経済成長段階は過去の日本でいえば1970年代前半あるいはそれ以前に相当しており、潜在的な成長力は依然かなり高い②債務主体のレバレッジ(負債による調達割合)の水準が過去の日本のバブル期に比べれば抑制された状態にある-と指摘。「不動産市場の調整が生じるとしても、それが90年代の日本のような深刻な調整とはならない可能性を示唆している」としている。
一方で、現在の中国には「70年代前半の日本になかった不動産市場の過熱を強め得る幾つかの要因が存在する」と指摘。①地方政府の財政収入に占める不動産関連収入の割合は約4割に上るとみられ、財源不足に悩む地方政府の不動産開発に対するインセンティブが強い②海外からの投機資金が資本規制の抜け道を通って中国国内に「熱銭」と呼ばれる短期資金として流入していると言われる-点を挙げた。
急速な資金流出で調整大きくなる可能性も
リポートはさらに「海外からの投資資金は現在の比較的厳しい資本規制の下でも流出入のペースが速くなっている。このため、今後、中国の不動産市場に調整が生じることが投資家の間で懸念された場合には、急速な資金流出が生じ、調整を大きくさせる可能性もある」と指摘。
その上で「中国の資産市場が健全に発展し、中国経済が安定的に成長することは、世界経済の回復モメンタムを維持する上でも重要である。中国政策当局の対応が、引き続き注目される」としている。
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