2010年3月8日月曜日

ソロス氏:金相場のバブルを示唆-ゴールドマンなど最高値更新を予想

3月1日(ブルームバーグ):著名投資家ジョージ・ソロス氏が金相場の上昇に一役買っている。「バブル」を考慮しながらも持ち高を2倍に増やしている。米ゴールドマン・サックス・グループやバークレイズ・キャピタル、英HSBCホールディングスは、金相場はバブル崩壊前にさらに上昇すると予想している。

  米証券取引委員会(SEC)への2月16日の届け出によると、ソロス・ファンド・マネジメントは、金連動型ETF(上場投資信託)としては最大の「SPDRゴールド・トラスト」の持ち高を2009年10-12月(第4四半期)に152%増やした。同社の運用資産は約250億ドル(約2兆2000億円)。

  金相場は過去最高値に達した昨年12月3日以降、8.9%下落しているが、ブルームバーグがアナリスト22人を対象に実施した調査では、15人が最高値を更新すると予想。予想中央値では、今年16%上昇し1300ドルに達するとみられている。

  ソロス氏(79)は1月、スイスで開催された世界経済フォーラム(WEF)年次総会(ダボス会議)で「金利が低水準の局面では資産バブルは膨らむ状況にある。現時点でも拡大している」と指摘。「究極のバブルは金だ」との見方を示した。

  グリーンスパン前米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、ハイテクバブルが2000年に崩壊する3年前に金融市場の「根拠なき熱狂」に対して警鐘を鳴らした。S&P500種株価指数はこの間に89%高騰した。ソロス氏は1月28日、ブルームバーグテレビジョンのインタビューで当時を振り返り、バブルの始まりの時期に買いを入れるのは「理にかなっている」と述べた。

  金相場は2000年末以降、4倍に上昇しており、ジョン・ポールソン氏やポール・チューダー・ジョーンズ氏、デービッド・アインホーン氏らヘッジファンド運用者の投資も引き付けている。

  ポールソン氏が運用するクレジット・オポチュニティーズ・ファンドのリターン(投資収益率)は、サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ローン資産の下落を見込んだ投資で07年にほぼ6倍に上昇。アインホーン氏は昨年10月、自身が率いるグリーンライト・キャピタルが、ドル相場の下落を見込み金を購入したことを明らかにした。

               「単なる資産」

  米チューダー・インベストメントは米国の産金最大手、ニューモント・マイニングの株式の持ち高を09年10-12月に約4倍に増やした。ポール・チューダー・ジョーンズ氏は昨年10月、顧客向け書簡で、金は「単なる資産であり、人生の他のすべての事柄と同じようにふさわしい時間と場所がある。そして、今がその時だ」との見解を示した。

  ブルームバーグが集計したデータによると、ETF大手4社のファンドの金の保有高は計1583トン。米国やドイツ、イタリア、フランスの中央銀行か政府、国際通貨基金(IMF)に次ぐ量だ。

  英調査会社GFMSによると、昨年は世界的リセッション(景気後退)の影響を軽減するための投資先として金需要が拡大したことから、金地金や金貨などの投資需要は1820トンに倍増した。GFMSの1月13日の発表によると、投資需要が宝飾品向け需要を上回ったのは約30年ぶり。金相場は最高値の1226.56ドルに達した。10年前には中央銀行が売却を進めるなか、20年ぶりの安値である251.95ドルまで下げた。

  アメリカン・プレシャス・メタルズ・アドバイザーズのマネジングディレクターで、中央銀行や鉱山会社にアドバイスするジェフリー・ニコルズ氏は「ソロス氏は金相場のバブルが到来すると考えているようだが、バブルはしばらくの間続くと予想される。そこから利益を得ることを望んでいる」と指摘。「バブルが到来する可能性はあるが、バブルが終わる前に金は2000ドルか3000ドルに高騰し得る」との見方を示した。

  ソロス・ファンド・マネジメントは、09年末時点でSPDRゴールド・トラストにとって4番目の大口投資家となっている。SPDRファンドの金保有高は1107トンと、スイスや中国をしのぐ。

0 件のコメント: