【東京】米格付け大手ムーディーズ・インベスターズ・サービスのトーマス・バーン上級副社長は25日、都内で行った記者会見で、日本国債の格付けについて、政府が財政をコントロールできていると信じられる計画を策定できなければ,引き下げの可能性があると警告した。
同氏は「2010年以降、財政赤字を削減できない可能性が焦点だ。それはネガティブだ」と指摘した上で、特に民主党連立政権が6月までにまとめる財政再建の中期展望は、今後の国債格付けを評価する際の「境界測定」となるとして注視していることを強調した。さらに、「財政の悪化が深刻かつ長期化すれば、日本国債の格下げを決定する要因になろう」と述べた。
日本の長期にわたる高水準の支出や増加する債務の持続性をめぐっては、懸念の声が高まっている。アナリストの間では、政府支出の増加が日本の財政の持続性を危うくし、投資家は長期国債の積極購入に及び腰になるのではないかとの見方が出ている。日本の政府債務残高の対国内総生産(GDP)比は180%と、先進国で最悪となっている。
バーン氏はまた、「日本がこれだけ高水準の債務でも余裕があるのは、国内の資金調達基盤が堅固で安定していることや、郵便貯金など固定化した貯蓄があること、国内投資家の強いホームバイアス(母国選好)などの特殊要因のせいだ」と語った。
ムーディーズは昨年5月、日本の国内市場が新発国債を順調に消化していることなどを理由に、日本国債の格付けを「Aa3」から「Aa2」に引き上げ、今年1月には同見通しを「安定」に維持した。一方、スタンダード&プアーズ(S&P)レーティングズ・サービシズは1月に、日本国債の格付け見通しを「安定」から「ネガティブ」に引き下げている。
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