2010年2月28日日曜日

米国 核攻撃「六つの敵」…戦略軍計画、関連文書で判明

2月28日2時33分配信 毎日新聞
【ワシントン古本陽荘】米軍の核戦略を統括する戦略軍(STRATCOM、ネブラスカ州)の包括的な作戦計画「OPLAN8010」が、潜在的な核攻撃の対象として5カ国と非国家主体の計六つを記載していることが27日、分かった。計画の関連文書を入手した米科学者連盟(FAS)のハンス・クリステンセン氏が毎日新聞に明らかにした。

 OPLAN8010は、米軍による核攻撃の具体的な作戦を網羅。計画そのものは当面、秘密扱いとされている。クリステンセン氏は、一部が黒塗りされた説明資料の入手に成功した。

 この中で、「潜在的な六つの敵」について、任務の分析や見直しの進展状況などを説明する記載が見つかった。国名はマジックで黒塗りされていた。クリステンセン氏は文字の一部や文字数の推測に加え、軍当局者への聞き取りや過去の経緯なども考慮した結果、潜在的な攻撃対象は中国、イラン、北朝鮮、ロシア、シリアの5カ国と、「テロ組織が国家と共謀して大量破壊兵器による破壊的攻撃を仕掛ける場合」と分析した。

 また、OPLAN8010が攻撃目標として、「大量破壊兵器に関するインフラ」「軍や国家の指導層」などを想定していることも判明した。ただ、既に変更された可能性もあるという。

 オバマ大統領は、核兵器の役割を縮小すると表明済み。米政府は新しい核態勢見直し(NPR)の報告書を作成している。3月1日に発表予定だったが、意見集約に手間取り、発表は1カ月程度ずれ込む見通しだ。

 現行のOPLAN8010が化学兵器や生物兵器を含む大量破壊兵器を広く核攻撃の対象ととらえているのに対し、新たなNPRでは通常兵器に核兵器の役割を代替させる方向で検討が進んでいる。

 NPRがまとまってから新しい作戦計画が作成されるまでには、2~3年程度かかるのが通例。その間は、OPLAN8010が米軍の核攻撃作戦の基軸であり続ける。OPLAN8010は08年12月に作成され、オバマ大統領就任後の09年2月に改定されている。

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