7月15日(ブルームバーグ):資産運用会社テンプルトン・アセット・マネジメント(シンガポール)のマーク・モビアス氏は、デリバティブ(金融派生商品)が効果的に規制されないことに加え、各国の景気刺激策から生じる世界的な過剰流動性が、新たな金融危機のきっかけになるとの見通しを示した。
テンプルトンの会長として250億ドル(約2兆3000億円)相当の運用を管理するモビアス氏は13日、イスタンブールからの電話インタビューで「投資銀行などデリバティブ取引で利益を上げるすべての関係者からの政治的圧力」が適切な規制を阻むと予想。「間違いなく、次なる危機が訪れるだろう」との見方を示した。
国際決済銀行(BIS)によると、デリバティブ取引は想定元本ベースで592兆ドルと、世界の国内総生産(GDP)の約10倍に上る。ブルームバーグが集計したデータによると、複雑な金融商品などを背景とした金融危機のなか、2007年初め以降、世界の大手銀行や証券会社、保険会社の評価損と貸倒損失は約1兆5000億ドルに達している。
ウォール街の大手金融機関が50%以上を出資するデータ提供会社マークイットグループ(ロンドン)は13日、米司法省がクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場を調査していると指摘した。
モビアス氏は、デリバティブを効果的に規制するために何が必要かについては説明しなかった。同氏は「銀行はこれらの取引で大きな利益を上げており、透明性の向上を望まない。透明性の欠如によって利ざやが非常に大きいからだ」と述べた。
モビアス氏は、景気刺激策に伴う資金供給で金融市場のボラティリティ(変動性)が高まるため、5-7年以内に「極めて深刻な」危機が出現する可能性があるとの見方を示した。
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