6月8日20時20分配信 産経新聞
【上海=河崎真澄】8日付の中国紙、第一財経日報などによると、米著名投資家のジョージ・ソロス氏は7日、上海市内の復旦大学で講演し、個人的な見方としながらも、「中国の国際的な影響力は多くの人の予想よりも速いペースで増大する」と述べ、金融危機下で相対的に存在感を高めている中国経済に注目していることを明らかにした。
中国政府による総額4兆元(約58兆円)の景気刺激策について、「景気浮揚に奏功しており、十分でない場合も中国政府は追加策を導入し、融資枠の提供や海外投資促進などを通して輸出を拡大するだろう」とも述べた。その上で「中国は国際社会や市場で主要な地位を占める国になる」などと“賛辞”を送って、中国を最大限、持ち上げた。
またソロス氏は、「政府が要請すれば銀行が貸し出しを増加させる中国の金融制度が、景気後退(リセッション)から早期に抜け出す手段になっている」と指摘。中国独自の金融制度が世界から隔離されている点や、銀行部門への政府関与が大きいことが、結果的に中国経済の早期回復に結びつくと分析した。
だが、ソロス氏の発言は、政府が強制力を行使する“計画経済型”の政策を肯定したとも受け止められ、自由主義信奉者で知られる同氏の真意をめぐって論議を呼びそうだ。
一方、中国の株式や不動産市場の動向については、「今後の先行きが不透明で、自分の全資産を(中国市場の)株式などにつぎ込むほど楽観的ではない」と述べた。
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