2011年12月1日木曜日

バフェット氏:オリンパス問題でも「日本で投資機会探る」-初来日

11月21日(ブルームバーグ):米著名投資家で米投資・保険会社バークシャー・ハサウェイを率いるウォーレン・バフェット氏(81)が21日、初来日した。投資先の工具メーカー、タンガロイが福島県いわき市で開催した新工場の完成式典に出席するためで、市場では同氏の今後の日本に対する投資姿勢に関心が集まっている。

式典は当初、3月22日に予定されていたが、東日本大震災の発生を受け延期された。バフェット氏は21日午後1時過ごろヘリコプターで現地に到着。社員らを前にスピーチし、「世界の目は日本に、特に福島に注がれている」と述べた。訪日が実現し、「きょうは素晴らしい日になった」と語った。

バフェット氏は同日夕の記者会見で、オリンパスの損失隠しについて「ときどきあのようなことが起きるのは欧米も一緒だ」と指摘。日本には「たくさんの投資機会がある。持続可能な競争力を持つ企業の価値を勘案し、妥当であり、そのときの経営陣を信頼できれば投資する」と引き続き投資機会を探っていく方針を明らかにした。

  割安な銘柄に長期投資する「バリュー投資の父」と称されるバフェット氏は、米飲料最大手のコカ・コーラや住宅金融大手のウェルス・ファーゴなどに20年以上投資している。アメリカン・エキスプレス、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)などを保有する。同氏は日本について5月に安心して投資できる国との認識を示していた。

バークシャーは2011年に入り株式購入を拡大。特に株価が大きく下落した第3四半期(7-9月)に239億ドル(約1兆8300億円)を投じた。米ルブリゾールを90億ドルで買収したほか、バンク・オブ・アメリカ(BOA)の優先株や、半導体メーカーのインテル、電子決済ネットワークのビザ株式なども購入した。

バフェット氏は21日夜、いわき市の新工場の敷地内でブルームバーグ・ニュースの単独インタビューに応じ、日本を含む世界市場での企業買収の可能性について「80億ドルから100億ドル(6000億-7700億円)の案件ならちょうどいい」と言及。ただ、「今のところ、具体的な計画はない」としている。

被災地訪問の意味

大震災から8カ月以上が経過する中、日経平均株価は11月18日終値で8374円と震災直後の安値8605円を下回り低迷を続けている。スパークス・グループの阿部修平社長はバフェット氏来日について、被災の中心地を訪れる意味は大きく、今後日本にもっと投資していくのではないかとの期待もあるなどと指摘した。

バークシャーの7-9月期の純利益は、デリバティブ投資の価値下落で前年同期比24%減の22億8000万ドルとなった。10月には米ゼネラル・エレクトリック(GE)が金融危機下の2008年10月に発行した優先株の買い戻しで33億ドルを受け取り、今月14日には米IBMの株式5.5%を107億ドルで取得し大株主になっている。

米誌フォーブスによると、バフェット氏は2011年世界長者番付でメキシコの富豪カルロス・スリム氏(740億ドル)、米マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ会長(560億ドル)に次いで3位(500億ドル)。米富裕層への増税や、ゲイツ氏らとともに資産を慈善事業に寄付する「ギビング・プレッジ」を働きかけるプロジェクトなどを展開している。

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