2011年8月18日木曜日

ベネズエラ大統領:金準備の本国移送を命令-金産業を国有化へ

8月17日(ブルームバーグ):ベネズエラのチャベス大統領は経済危機から自国を守るため、国外の銀行に保有する金準備110億ドル(約8400億円)相当を本国に引き揚げるよう政府に命じた。また、国内の金産業を国有化する方針も明らかにした。

  ベネズエラ政府の文書によれば、同国は金準備365トンのうち約211トンを国外のイングランド銀行(英中央銀行)や米JPモルガン・チェース、英バークレイズ、英スタンダードチャータード銀行、加ノバスコシア銀行などの金融機関に預託している。

  チャベス大統領は17日に国営テレビで、「イングランド銀に1980年以降、金準備99トンを預けている。私は本国移送に同意した」と述べ、「妥当な決定だ」との見解を示した。

  米ドルの「独裁体制」を排除する意向を表明しているチャベス大統領は、ベネズエラ中銀に287億ドル相当の外貨準備を米国の金融機関から分散させるよう呼び掛けている。同中銀のメレンテス総裁は17日の記者会見で、一部の外貨準備は中国やロシア、ブラジル、インドを含む新興国の通貨にシフトさせる方針を明らかにした。

  これに先立ちチャベス大統領はこの日、国内金産業を掌握して不正な採掘を停止させ、金準備を増やす計画も明らかにしていた。大統領によると、政府は金と携帯電話などに使用されるタンタルを含む鉱石の鉱床を違法採掘業者が開発するのを阻止するための法令を準備している。

  大統領は金産業について「マフィアによって運営されている領域だ」と述べ、「われわれは金産業を国有化するつもりだ。彼らが持ち去るのを容認し続けるわけにはいかない」と語った。

  カナダの産金会社クリスタレックス・インターナショナル・コープは2月にラス・クリスティナス鉱山をベネズエラ政府に接収された。ベネズエラは同社を含む3社の金資産の国有化をめぐり国際調停に直面している。

チャベス大統領は5月、同国の金産出量は年間11トンであり、違法産出分がさらに10-11トンあると述べていた。