2011年8月8日月曜日

英プレイボーイクラブ:モルガンSから転身女性シェフの絶品料理堪能

8月8日(ブルームバーグ):ロンドンにあるプレイボーイクラブで最も魅力的なのは何だろうか。もちろん、料理だ。

  ヒュー・ヘフナー氏が創業したプレイボーイクラブは、バニーガールが既に時代遅れになってしまった1980年代に閉店された。今年5月に生まれ変わって開店した同クラブは、セレブを引き付けてやまなかった66年の創設当時の華やかさを再現することを目指している。

  このクラブの入会金は1000ポンド(約12万8000円)。これに加え年会費1200ポンドが必要だ。高額な費用にもかかわらず、クラブへの関心は極めて高い。

  料理はジュディ・ジュ氏が責任者を務める。ジュ氏は米コロンビア大学を卒業後、モルガン・スタンレーのニューヨークとサンフランシスコのオフィスで勤務した経歴の持ち主。この後、ニューヨークのフランス料理学校、フレンチ・キュリナリー・インスティチュートでシェフになる訓練を受けた。著名シェフ、ゴードン・ラムゼイ氏の旗艦店で働いた後、英国の料理番組「アイアン・シェフ(料理の鉄人)」に出演。現在では米国版アイアン・シェフの審査員を務めている。

  クラブは2つの階にある。下の階は欧州カクテル界の大御所の1人、サルバトーレ・カラブレーゼ氏が中心となって運営するバー、サルバトーレズ。同氏が担当してくれれば何も心配する必要はない。

  ウェブサイトによると、隣はカクテルラウンジで、「バニーガールがやって来る」。照明を暗くした豪華な室内ではディスクジョッキーがレコードを回し、小さなステージがある。ここにバニーガールが時々やって来てダンスを披露する。室内は60年代と70年代当時のクラブの面影をほうふつとさせるデザインになっている。

  (私の思い出はこれとは少し違う。私は70年代半ばにロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで最初の女性学コース、つまり性の社会学を学んだ少数派の男性の1人だった。私が当時、このクラブの近くを訪れたとすれば、それは抗議デモのためだっただろう。今年5月にクラブの開店パーティーに足を運び、デモ参加者の傍らをきまり悪い気分で通り過ぎた私は、そんな当時のことを思い出していた)

            バニーガールの序列

  上の階ではゲームが行われ、バニーガールたちがテーブルの列に陣取る客から賭け金を集めている。(バニーガールの世界には序列がある。「レギュラー」のバニーガールは赤い衣装を、「ディーラー」や「ホステス」のバニーガールは黒い衣装を身に付けている)

  ジュ氏のメニューにはシーザーサラダやカキ、ロブスターロール、ステーキ、マカロニとチーズのトリュフとキノコ添えなど主に米国料理が並ぶ。カモ肉のフライやスターター数種のほか、韓国系であるジュ氏が受け継ぐ韓国料理の伝統的な味が加えられた一層興味深い料理を選ぶこともできる。

  ロンドンのシェフが米国料理で成功するチャンスは限られているがジュ氏は例外だ。食材と調理法は申し分なく料理は想像力に富んでいる。メニューにはおなじみの品々が並ぶが、どれもひねりが効いていて十分に楽しめる。

プレイボーイクラブ14 Old Park Lane, Mayfair, W1K 1ND.Tel. +4420-7491-8586;http://www.playboyclublondon.com/home/.

(バインズ氏はブルームバーグ・ニュースの芸術・娯楽部門の主任料理評論家です。この記事の内容は同氏自身の見解です)

2011年8月7日日曜日

世界一の富豪スリム氏、4日間で80億ドル失う-メキシコ株の下落で

8月5日(ブルームバーグ):世界一の富豪であるメキシコのカルロス・スリム氏(71)が、今週に入り4日間で約80億ドル(約6280億円)失ったことが分かった。

  ブルームバーグのデータによれば、同氏の株式ポートフォリオは米ドル換算で7月29日から8月4日までにおよそ11%縮小し、約630億ドル相当。同期間で米S&P500種株価指数は7.1%下げた。

  米経済の減速でメキシコ資産の需要が悪影響を受けるとの懸念を背景に、メキシコの主要株価指数であるボルサ指数は7.4%下げ、通貨ペソは対ドルで2.5%値下がり。スリム氏もこの影響を被った。さらにボルサ指数からスリム氏所有の企業が3社除外されることが、同氏に追い打ちをかけた。

  バンガーディア・カサ・デ・ボルサ(メキシコ市)のトレーダー、レオン・カブレラ氏は「スリム氏は、ボルサ指数から除外される企業の影響で特に大きな打撃を受けている」と指摘。「世の中の不安感を反映している。市場に参加している以上、避けることはできない」と加えた。

  中南米最大の携帯電話サービス会社でスリム氏が保有する最大の資産であるアメリカ・モビルは今週6.9%下落。スリム氏が保有するメキシコ株で今週上昇しているのは、アメリカ・モビル傘下のテレフォノス・デ・メヒコ(テルメックス)のみ。テルメックスは、アメリカ・モビルが未保有株の取得を提案したことに反応して11%上げた。

  スリム氏の広報担当、アルトゥロ・エリアス氏はコメントを控えた。

同族企業の巨人カーギル、執着薄の新世代登場で10年内に株式公開か

7月28日(ブルームバーグ):米国の農産物供給最大手カーギルのグレッグ・ページ最高経営責任者(CEO)は2010年末、世界的な食料価格高騰の責任を誰に問うべきかについて妙案を思い付いた。各国政府に負わせようと-。

  ページCEO(59)は今年3月にカリフォルニア州サンディエゴで開かれた全米穀物飼料協会の大会で、行動を起こすよう参加者に呼び掛けた。ブルームバーグ・マーケッツ誌9月号が報じている。同氏は、政府による買い占めが価格高騰の最大の要因だと指摘した。食料価格は昨年10月から1月にかけて15%上昇。世界銀行によると、価格上昇で約4400万人が貧困に陥った。

  「時機を逸し、計画性がなく、近隣諸国を窮乏させる戦略にほかならない」。干ばつや洪水の影響で穀物在庫が数十年ぶりの低水準に落ち込んだのを受けて輸出を次々に禁止したロシアなどの動きをページCEOはこう非難した。

  さらに供給に支障が出れば、価格はますます高騰し、各国政府は穀物だけでなくエネルギーや金融市場取引の規制を強化して介入してくる可能性があると、ページ氏は警鐘を鳴らした。このような動きは農産物投資を妨げ貧困層に打撃を与える恐れがある。

  ページCEOは「議会関係者らもわれわれと同じ考えを持っていることを確かめなければならない」とし、企業幹部らに対し、政府が農産物市場に介入しないよう議会へのロビー活動を強化するよう呼び掛けた。

            食料供給網

  カーギルが重視することは、民間セクターの立場と干渉されないことの2つだ。スコットランド人の船長の息子だったウィリアム・カーギル氏が1865年に創業した農産物供給の巨大企業カーギルは、7世代続く同族所有企業である。これほど長期にわたる同族会社は主要企業では米国史上、例がない。ミネソタ州ウェイザタ郊外を拠点とするカーギルでは、ウィリアム・カーギル氏の子孫約100人が経営管理に携わっている。カーギルのバランスシートを見ると、資産から負債を差し引いた株主資本が昨年11月までの4年半の間にほぼ倍増し、295億ドル(約2兆3000億円)に達した。

  肥料生産を手掛ける傘下のモザイクも含めたカーギルの売上高は、今年2月までの9カ月間に15%増加し918億ドルに達した。ページCEOが政府介入に反対するロビー活動の強化を呼び掛けたのはこの翌月だ。この間の利益は前年同期比で約2倍の35億ドルとなった。

431通りのカット法

  世界各地で食料供給への不安が高まる中、カーギルは世間の目が自社に向けられるのをうまく切り抜けてきた。スーパーにはカーギルブランドの製品はなく、経営幹部らも報道関係者の取材に応じることはめったにない。ただ、世界への食料供給におけるカーギルの影響力は絶大だ。社員13万1000人を擁し、トウモロコシからバイオ燃料や食料、飼料への転換事業を手掛ける米国の主要企業の一角を占める。塩の販売のほか、ココアと砂糖の売買で米国首位。牛肉生産では2位で、431通りのカット方法を駆使した肉を提供できるため、ウォルマート・ストアーズは各店舗で食肉処理担当者を雇う必要はない。

  アグリソースのダン・バス社長は「カーギルは種苗や化学製品を農家に売り、農家から穀物を買う。その穀物をカーギルの家畜飼育場に運び、牛を処理し牛肉を売る。カーギルは食品供給網の一部ではない。供給網全体だ」と指摘する。

  バージニア州の弁護士ダニエル・クレメンテ氏によると、元CEOのホイットニー・マクミラン氏(81)は非上場企業にとどまることを最も声高に主張していた人物の1人だ。同氏は2005年まで11年間にわたって一族に経営についてアドバイスし、現在でも創業者のひ孫であるジェームズ・カーギル2世氏の相談に乗っている。

女家長の死

  マクミラン氏とウィリアム・カーギル氏の娘、エドナ氏の結婚により、1895年に2つの家族が合体し、共同経営が始まった。

  筆頭株主で一族の女家長だったマーガレット・カーギル氏が2006年に85歳で死去すると、カーギル家とマクミラン家は同族経営のジレンマに直面した。事情に詳しい関係者によると、マーガレット氏は慈善事業に寄与するため、保有する17.5%の株式を売却することを望んだが、マクミラン氏ら長老が反対。これら株式がいったん市場に出回れば、一族の若手がカーギルの新規株式公開(IPO)を支持することを懸念したからだという。

  その代わり、カーギルは64%を保有していた北米2位の肥料メーカー、モザイクの持ち株を減らした。このスプリットオフ(株式交換による分配)は双方に利益をもたらすことになった。モザイクの時価総額はマーガレット氏が死去した時点の61億ドルから今年5月には305億ドルに増加し、マーガレット氏の信託は同氏保有のカーギル株と引き換えにモザイク株を受け取った。これは同族株主の現金も増やすこととなり、IPOを支持する潜在的な動きも収まった。

スプリットオフ

  一族のメンバーとマーガレット氏の信託は5月25日、モザイクの株式計117億ドル相当の分配を受けた。カーギルの資産も73億ドル増加した。経営幹部と社員の持ち株制度も計4億ドルを得て、スプリットオフの価値は計194億ドルに上った。クレディ・アグリコル・セキュリティーズUSA(ニューヨーク)のアナリスト、マーク・コネリー氏は「所有権が変更されることなく190億ドル相当を放出できる企業は他に思い浮かばない」と指摘。「モザイクの株式の3分の2を保有していなかったら、カーギルは直ちにIPOに踏み切っていただろう」と語る。

  カーギルが永遠にIPOを避け続けることはできないかもしれない。クレメンテ氏は、マクミラン氏がいずれこの世を去れば、娘のエリザベス・シュミット氏らの世代が強い影響力を持つようになるとみている。

執着薄

  クレメンテ氏は「私が話した若者たちはホイットニー氏のような長老に対して敬意を抱いていた。カーギルを非上場企業にしておくことにそれほど強い思い入れがあるわけではなかった」と語る。

  ページ氏やマクミラン氏、シュミット氏ら一族のメンバーはコメントを控えた。

  7世代を経て創業者のウィリアム・カーギル氏との結び付きは薄れている。一族のメンバーで経営中枢にいる者はおらず、マクミラン氏ほど積極的に企業構築に取り組み、非上場を貫くことに固執している者もいない。

  クレメンテ氏は、食料価格の高騰が止まれば、カーギルは10年以内か、場合によってはそれより前にIPOに踏み切ると予想している。IPOが実施されれば、146年間にわたって非上場を貫いてきたカーギルは世界中を網羅する食料供給事業の手の内をもう少し明かすことになるかもしれない。

「金売買停止」は米国債デフォルトへの布石?

(転載)
米国では金融規制法「ドッド・フランク法」で金の売買がオプションなど一部で規制されるが、週明けでどのような影響があるのか。それは単なる金先物相場の価格の範囲に収まるのか、米国経済の破たんを予告するためのものなのか?

 欧州の財政破たん懸念が意識されていることで、NY商品取引所の金先物相場は連騰で、1オンス=1590.1ドルと史上最高値となった。足元は買い支えの要因があり、安心かに見える。

 その一方で、個人のオプションなどの売買が禁止されるために、価格上昇の要因が消えるのではないか、という見方もできる。

 ただ、もっと恐いことは、この法律の本音の部分。米国経済が破綻した際に、国民がドルを売って金を買う動きを前もってできないようにしようとするものだからだ。現在は、国債発行上限枠の撤廃に向けて、政府は間もなく迫るタイムリミットまでギリギリの調整を行っているところ。

 日本では大きく報道されていないが、米国債のデフォルトを最悪視野に入れているとも言えなくはない。そうなれば、資本主義経済の総本山が大激震に見舞われた以上は、米国内だけで収まるはずもない。

 米国は過去には、世界大恐慌時に、一部で金の売買を禁じたこともあった。破たんを意識したものなのか、どうか? まずは週明けの相場がどのような答えを出すのか注視したい。

 ちなみに、いくつか例外もある。その一つに、世帯年収で約2400万円以上ある家庭は免除されている。