2011年3月18日金曜日

大阪のホテルに予約殺到、外資系幹部の避難用か

東日本で東京電力による計画停電が始まり、被災した福島第一原子力発電所から放射性物質が飛散する可能性が高まって以来、首都圏の企業が大阪市内のホテルをまとめて予約する動きが出ている。


 実際に宿泊するのは一部にとどまっているようだが、予約で満室になるホテルも多い。特に、外資系企業が幹部を避難させたり、大阪での業務の比重を増やしたりするのに利用する例が多いようだ。

 スイスホテル南海大阪(大阪市中央区、548室)では、14日から宿泊の予約が増え始め、20日までほぼ満室だ。外資系企業の日本法人などが、社員やその家族のために複数の客室を予約するケースが多く、60室を2週間予約した企業もある。

 ホテルグランヴィア大阪(同市北区、648室)も週末まで全室が予約で埋まっている。20~30室を長期で取るケースが多い。東電の計画停電で業務が滞ることへの懸念が強いのか、「大阪に大規模な拠点を持たない企業の利用が目立つ」(ホテルグランヴィア大阪)という。ホテル阪急インターナショナル(同、168室)も今週いっぱい満室で、市内最大規模の973室を持つリーガロイヤルホテル(同)も長期宿泊に関する問い合わせが増えているという。

 あるホテルの担当者は「特に外資系企業は、放射性物質の飛散への警戒感が強いのか、本国からの指示で予約しているケースも多そうだ」と話している。

(2011年3月18日15時51分 読売新聞)

東京都内の環境放射線測定結果の状況-3月18日

3月18日(ブルームバーグ):東京都健康安全研究センターが発表した都内での環境放射線測定結果の詳細は以下の通り。測定場所は新宿区百人町。単位はマイクログレイ/時。胸部レントゲンの放射線量は約50マイクログレイ。



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測定時間 線量率 線量率 線量率
最大値 最小値 平均値
====================================================================
---------------------- 2011年3月18日 -------------------------
16:00 ~ 16:59 0.0500 0.0461 0.0481
15:00 ~ 15:59 0.0502 0.0457 0.0481
14:00 ~ 14:59 0.0506 0.0457 0.0484
13:00 ~ 13:59 0.0509 0.0464 0.0486
12:00 ~ 12:59 0.0507 0.0466 0.0485
11:00 ~ 11:59 0.0515 0.0454 0.0485
10:00 ~ 10:59 0.0509 0.0455 0.0483
09:00 ~ 09:59 0.0506 0.0466 0.0486
====================================================================
測定時間 線量率 線量率 線量率
最大値 最小値 平均値
====================================================================
08:00 ~ 08:59 0.0518 0.0465 0.0489
07:00 ~ 07:59 0.0513 0.0468 0.0493
06:00 ~ 06:59 0.0508 0.0464 0.0489
05:00 ~ 05:59 0.0515 0.0468 0.0490
04:00 ~ 04:59 0.0523 0.0464 0.0489
03:00 ~ 03:59 0.0524 0.0464 0.0496
02:00 ~ 02:59 0.0523 0.0471 0.0493
01:00 ~ 01:59 0.0520 0.0474 0.0498
00:00 ~ 00:59 0.0530 0.0474 0.0500
---------------------- 2011年3月17日 -------------------------
23:00 ~ 23:59 0.0523 0.0460 0.0497
22:00 ~ 22:59 0.0525 0.0480 0.0500
21:00 ~ 21:59 0.0525 0.0473 0.0497
20:00 ~ 20:59 0.0523 0.0478 0.0498
19:00 ~ 19:59 0.0537 0.0472 0.0499
18:00 ~ 18:59 0.0520 0.0475 0.0501
17:00 ~ 17:59 0.0524 0.0475 0.0498
====================================================================
測定時間 線量率 線量率 線量率
最大値 最小値 平均値
====================================================================
16:00 ~ 16:59 0.0523 0.0478 0.0502
15:00 ~ 15:59 0.0526 0.0488 0.0503
14:00 ~ 14:59 0.0526 0.0488 0.0506
13:00 ~ 13:59 0.0545 0.0486 0.0507
12:00 ~ 12:59 0.0533 0.0486 0.0508
11:00 ~ 11:59 0.0532 0.0489 0.0511
10:00 ~ 10:59 0.0544 0.0489 0.0514
09:00 ~ 09:59 0.0538 0.0485 0.0515
08:00 ~ 08:59 0.0551 0.0489 0.0516
07:00 ~ 07:59 0.0539 0.0498 0.0520
06:00 ~ 06:59 0.0549 0.0498 0.0519
05:00 ~ 05:59 0.0544 0.0497 0.0521
04:00 ~ 04:59 0.0555 0.0490 0.0523
03:00 ~ 03:59 0.0551 0.0499 0.0523
02:00 ~ 02:59 0.0549 0.0500 0.0524
01:00 ~ 01:59 0.0557 0.0501 0.0526
00:00 ~ 00:59 0.0562 0.0503 0.0530
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測定時間 線量率 線量率 線量率
最大値 最小値 平均値
====================================================================
---------------------- 2011年3月16日 -------------------------
23:00 ~ 23:59 0.0553 0.0499 0.0529
22:00 ~ 22:59 0.0558 0.0508 0.0532
21:00 ~ 21:59 0.0569 0.0506 0.0532
20:00 ~ 20:59 0.0555 0.0511 0.0532
19:00 ~ 19:59 0.0565 0.0509 0.0533
18:00 ~ 18:59 0.0562 0.0507 0.0532
17:00 ~ 17:59 0.0572 0.0504 0.0534
16:00 ~ 16:59 0.0575 0.0517 0.0539
15:00 ~ 15:59 0.0570 0.0520 0.0542
14:00 ~ 14:59 0.0569 0.0513 0.0541
13:00 ~ 13:59 0.0569 0.0529 0.0547
12:00 ~ 12:59 0.0654 0.0530 0.0562
11:00 ~ 11:59 0.0632 0.0537 0.0565
10:00 ~ 10:59 0.0702 0.0546 0.0582
09:00 ~ 09:59 0.0870 0.0555 0.0688
08:00 ~ 08:59 0.1030 0.0693 0.0891
====================================================================
測定時間 線量率 線量率 線量率
最大値 最小値 平均値
====================================================================
07:00 ~ 07:59 0.1100 0.0975 0.1040
06:00 ~ 06:59 0.1610 0.1110 0.1420
05:00 ~ 05:59 0.1600 0.1280 0.1430
04:00 ~ 04:59 0.1510 0.1240 0.1410
03:00 ~ 03:59 0.1260 0.0845 0.1010
02:00 ~ 02:59 0.0951 0.0589 0.0672
01:00 ~ 01:59 0.0607 0.0506 0.0547
00:00 ~ 00:59 0.0599 0.0514 0.0538
---------------------- 2011年3月15日 -------------------------
23:00 ~ 23:59 0.0599 0.0530 0.0556
22:00 ~ 22:59 0.0763 0.0575 0.0657
21:00 ~ 21:59 0.0980 0.0761 0.0888
20:00 ~ 20:59 0.1680 0.0955 0.1230
19:00 ~ 19:59 0.4580 0.1650 0.3610
18:00 ~ 18:59 0.3200 0.1130 0.2000
17:00 ~ 17:59 0.1570 0.0669 0.0941
16:00 ~ 16:59 0.0749 0.0646 0.0682
====================================================================
測定時間 線量率 線量率 線量率
最大値 最小値 平均値
====================================================================
15:00 ~ 15:59 0.0715 0.0646 0.0682
14:00 ~ 14:59 0.0752 0.0681 0.0716
13:00 ~ 13:59 0.0722 0.0624 0.0658
12:00 ~ 12:59 0.0777 0.0663 0.0713
11:00 ~ 11:59 0.1510 0.0781 0.1060
10:00 ~ 10:59 0.8090 0.1600 0.4960
09:00 ~ 09:59 0.4650 0.1220 0.2020
08:00 ~ 08:59 0.1230 0.0403 0.0573
07:00 ~ 07:59 0.0507 0.0412 0.0453
06:00 ~ 06:59 0.0576 0.0438 0.0495
05:00 ~ 05:59 0.1120 0.0562 0.0875
04:00 ~ 04:59 0.1470 0.0360 0.1000
03:00 ~ 03:59 0.0384 0.0319 0.0347
02:00 ~ 02:59 0.0373 0.0318 0.0345
01:00 ~ 01:59 0.0372 0.0329 0.0347
00:00 ~ 00:59 0.0367 0.0322 0.0345
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測定時間 線量率 線量率 線量率
最大値 最小値 平均値
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出所:東京都健康安全研究センター

米政府:チャーター機で米国民の日本からの移送を開始-原発危機

 3月18日(ブルームバーグ):米政府は自国の軍関係者や外交官の家族ら米国民の日本からの移送を開始した。東日本大震災により損傷した福島の原子力発電所では、自衛隊などによる放水作業など危機封じ込めの取り組みが続いている。

  米国のほか英国とオーストラリアが、日本の原発事故に関する警戒レベルを引き上げ、同原発の周囲80キロ内の地域から退避することを自国民に勧告した。英ブリティッシュ・エアウェイズは東京から乗務員らを引き揚げた。

  香港当局は東京在住の同区民に帰国または日本の西部への移動を促した。17日遅くにウェブサイトに掲載された文書によると、当局は成田空港からの追加便を手配している。

  米政府は職員の家族を含めた97人の米国民を日本から台湾に移送したと、米国在台湾協会のシーラ・パスクマン氏が明らかにした。18日中にもう1機が台湾またはソウルに向けて出発すると、同氏が台北からの電話インタビューで述べた。

  仏銀ソシエテ・ジェネラルは日本駐在の外国人と家族が希望する場合、出国を支援するとともに日本人従業員には在宅または別の場所からの勤務を認めているという。

  厚木の米軍基地で教師を務めるキース・キャッシュ氏は「まだ余震がある上に停電があり、放射能の懸念もある」として、これら全てを踏まえると家族を帰国させることを決めざるを得なかったと説明した。

  米原子力規制委員会(NRC)のヤツコ委員長は17日、ワシントンで記者団に、事態の収拾には数週間かかる可能性があると語った。ケネディ米国務次官によると、米政府は仙台周辺から移動する米国民のためバス14台もチャーターした。

  英外務省のウェブサイトによると、同国政府も自国民を香港に移送するため航空機をチャーターする。

  オーストラリアは自国民に必須の要員を除いて本州の北部と東京から離れることを呼び掛けた。フランスとドイツ、中国などは出国を促している。

  放射能汚染への懸念はアジアに広がり、中国では被ばくに対する防護効果があるとされる塩が売り切れた。

日本が復興費調達で米国債売る公算は低い-モルガンSのキャロン氏

3月17日(ブルームバーグ):米モルガン・スタンレーの米金利戦略責任者ジェームズ・キャロン氏は、東日本大震災後の復興費を調達するために日本が米国債を売る可能性は低いと見方を示した。

キャロン氏はブルームバーグ・テレビジョンのインタビューで、日本銀行や日本の保険会社が、保有している8859億ドル相当の米国債を売却すると考えるのは「当然だろう」と述べた上で、「当社は実際にそれが起きるとは考えていない」と指摘した。

キャロン氏によると、日本は1995年の阪神淡路大震災後も米国債は売却しなかった。同氏は、一部投資家は日本の保険会社が補償金を調達するために米国債を売る必要があるとの観測を示しているが、実際は保険料収入から支払われる可能性が高いと述べた。

円が急落、G7が協調介入合意-過度の円高に対応、対ドル81円台後半

3月18日(ブルームバーグ):東京外国為替市場では円が急落し、対ドルでは約3円、円安が進んだ。前日の円急騰を受け、主要7カ国(G7)の財務相・中央銀行総裁会議は同日朝の緊急電話会議で、円高阻止に向けた協調介入で合意。東京市場では午前9時に円売り・ドル買い介入が実施された。

  円は対ドルで一時1ドル=81円89銭と3営業日ぶりの水準へ大幅下落。東日本大震災や原発事故への懸念を背景に17日には一時、戦後最高値となる76円25銭まで急騰していた。前日のニューヨーク時間終値は78円89銭だった。

  外為どっとコム総合研究所の植野大作主席研究員は、G7の協調介入合意により「投機色の強い円高圧力は当面封印される可能性が高くなった」と指摘。「今後はファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)注視という形になってくる」とし、円の下落基調が続くかどうかは原発事故の行方と「米国景気の回復感が今後強化されてくるかどうか」次第との見方を示した。

  ブルームバーグ・データによると、円は主要16通貨すべてに対して前日終値から下落。大震災が発生した11日以降、対ドルでは6円以上円高が進んでいた。

          G7、協調介入で合意

  G7は18日午前に緊急の電話会議を開き、過度な円高に対応するため、円売りの協調介入を実施することで合意した。野田佳彦財務相が会議後に記者団に明らかにした。

  同時に発表されたG7声明は「日本当局からの要請に基づき」、米英カナダ、欧州中央銀行は18日に「日本とともに為替市場における協調介入に参加する」と言明。「為替レートの過度な変動や無秩序な動きは経済および金融の安定に悪影響を与える」と指摘し、「われわれは為替市場をよく注視し、適切に協力する」としている。

  三菱UFJ信託銀行資金為替部の井上英明統括マネージャーは、「為替相場に対してどのようなイメージをもって介入しているかは別として、メッセージは究極の強さだ」と指摘。「これで円高の動きも止められるのではないか。このまま85円をすぐにトライするかは現時点では分からないが、元のレンジに戻るのではないか。今後の当局の動向に注意したい」と語った。

  G7による協調介入は、1999年1月のユーロ誕生後のユーロ安を受け、2000年9月にユーロ買い介入を実施して以来となる。

         円売り介入、ユーロ対象も

  野田佳彦財務相は18日午前の閣議後会見で、G7が合意した協調介入について、場合によってはユーロが対象になる可能性があると述べた。

  ユーロ・円相場は1ユーロ=110円台半ばから一時、今月7日以来の水準となる115円27銭までユーロ高・円安が進行。ユーロ・ドル相場は1ユーロ=1.4000ドル前後から一時、1.4088ドルと昨年11月5日以来のユーロ高値を付けた。

  日本銀行の白川方明総裁は「日銀は為替市場におけるG7各国との協調行動が為替相場の安定的な形成に寄与することを強く期待している。日銀としては、強力な金融緩和を推進するとともに、金融市場の安定を確保するため、今後とも潤沢な資金供給を行っていく方針である」との声明を公表した。

  クレディ・アグリコル銀行外国為替部ディレクターの斎藤裕司氏は「容認どころか協調介入なので、海外市場まで介入が入る可能性がある」と指摘。「介入額は過去最高になる可能性もあるだろう」と語った。

G7が協調介入実施で合意-大震災後の円急騰で緊急電話会議

3月18日(ブルームバーグ):主要7カ国(G7)の財務相・中央銀行総裁会議による緊急電話会議が18日午前7時から行われ、G7が為替市場で円売り・ドル買いの協調介入を実施することで合意した。野田佳彦財務相が会議後記者団に明らかにするとともに、G7声明も発表された。介入は東京外国為替市場で午前9時に実施した。

  今回の緊急電話会議は、11日に発生した東日本大震災と東京電力福島第一原発事故を受けて円相場が戦後最高値を更新するなど、金融市場が不安定になっていることに対応するもの。G7声明は「日本当局からの要請に基づき」、米英カナダ、欧州中央銀行は18日に「日本とともに為替市場における協調介入に参加する」と言明した。

  声明は「為替レートの過度な変動や無秩序な動きは経済および金融の安定に悪影響を与える」と指摘。「われわれは為替市場をよく注視し、適切に協力する」としている。

  G7声明はまた、「日本における最近の劇的な出来事を議論」するとともに、日本当局から「現在の状況、当局がとった経済・金融面での対応について説明を受けた」と述べた。その上で、「困難な時における日本の人々との連帯意識、必要とされるいかなる協力も提供する用意がある」などとしている。

  野田財務相は会議後の会見で、「困難な状況にもかかわらず日本経済は引き続き健全だ」と述べた上で、震災後の円の急伸を受け「日本当局からの要請に基づき、米国、英国、カナダ、欧州中央銀行(ECB)は本日、日本とともに為替市場における協調介入に参加することで合意した」と説明した。

            ユーロ買い介入も

  介入実施後の同日午前の閣議後会見で、野田財務相は為替市場での「過度な変動、無秩序な動きに対する対応策ということで引き続き取り組んでいく」と述べ、相場動向を見ながら継続的に介入を実施する方針を示した。介入の対象通貨については「基本的にはドル・円だが、ECBはユーロをやるかもしれない」と述べ、ECBによる円売り・ユーロ買い介入の可能性を示唆した。

  野田財務相はまた、G7各国が協調介入に同意した背景について「日本が市場における過度な変動、無秩序な動きについてG7各国に理解を求め、認識を共有した」と説明。各国が日本経済を支える強い意志を持ち、躊躇(ちゅうちょ)することなく日本の要請を引き受けてくれたとし、「日本に協力したいという思いがG7各国にあった。友情ある協調だ。感謝したい」と語った。

  一方で、円高の要因の1つとして指摘されていた日本企業や投資家による外貨資産の円転換などのレパトリエーション(自国への資金回帰)の動きについては、「日本企業が円資金を確保するため、海外資産を売却するようなことはない」とG7各国に説明したことを明らかにした。

潤沢な資金供給

  一方、日本銀行の白川方明総裁は電話会議後の会見で「日銀は為替市場におけるG7各国との協調行動が為替相場の安定的な形成に寄与することを強く期待している。日銀としては、強力な金融緩和を推進するとともに、金融市場の安定を確保するため、今後とも潤沢な資金供給を行っていく方針である」との声明を公表した。

  今回の大震災では、被災地にある東京電力福島第1原発の放射能漏れ懸念の広がりが金融市場に大きな影響を及ぼしている。 円相場は17日早朝の外国為替市場で急騰し、これまでの戦後最高値だった1995年4月の1ドル=79円75銭を突破した。18日午前の東京市場では午前9時55分現在1ドル=81円28銭前後で推移。野田財務相の会見直前の午前8時55分現在は同79円45銭前後だった。

  G7による協調介入は、1999年1月のユーロ誕生後のユーロ安を受け、2000年9月にユーロ買い介入を実施して以来となる。

  みずほ証券の林秀毅グローバルエコノミストはG7の協調介入合意について、「日本大震災と原発事故が世界的なリスクとして認識されて、協調態勢ということが合意に至りやすかった」と指摘する一方、「原発事故の状態がどうなるかまだ予断を許さないが、少なくとも放水活動などでさらに悪化するとの懸念は一服している」との見方を示した。

            震災の経済への影響

  日本経済は、昨年10-12月期の実質国内総生産(GDP)に前期比年率1.3%減と5期ぶりのマイナスとなったが、今年1-3月期成長率はプラスに復帰すると、震災発生前に多くのエコノミストはみていた。政府も2月の月例経済報告で「景気は持ち直しに向けた動きがみられ、足踏み状態を脱しつつある」として、判断を2カ月連続で上方修正した。

  しかし、震災による日本経済への影響は甚大とみられており、とりわけ急激な円高は輸出企業を中心に企業収益を圧迫し、足踏み状態から脱しつつある景気を懸念する声も出ている。

  日本銀行の白川方明総裁は14日の会見で、「今回の地震は観測史上最大規模であり、その被害は地理的に広範囲に及んでいる」と指摘。「家計や企業マインドの悪化が意識される」との認識を示していた。

【コラム】1988年に私が想定した大震災、そして今の大震災-Mルイス

3月18日(ブルームバーグ):1988年。私はウォール街での仕事を辞め、文筆業で生計を立てることにした。取材旅行先に関して記事が書けることを雑誌編集者たちに納得させさえすれば、どこに行っても出張費を出してくれることにわくわくした私は、どこに行きたいかを考え始めた。まず最初に行きたいと思ったのは日本だった。

  そこで私は、もし東京が大地震に見舞われて壊滅したら世界で何が起きるかという記事を編集者に提案した。もちろん私には、東京が地震で崩壊したら何が起きるかなんて分からなかったし、その手掛かりすらなかった。しかし編集者という人間は信じられないほど寛容で、その一人に私は東京に数週間行かせてくれと頼んでみた。そうしたら実現してしまった。

  だが、筆一本で食べていく人生に伴う問題に私はすぐ気が付いた。つまりどこかの時点でお話を書く必要があるということだ。このために有給休暇のつもりだった東京への取材旅行はほどなくして、自分にとっても不合理に思えた疑問に対する答えを必死に探す旅となってしまった。その問いとは、この新しい世界の金融センターが壊滅したら、何が起きるかというものだった。

  私はラッキーだった。日本の政府や金融界にもこの壮大な疑問に答えようとし始めている人たちがいたからだ。旧国土庁に所属していた尾田栄章氏はちょうど、1923年に東京を襲った大震災同様の地震が来たと仮定した研究を終えたばかりだった。(1853年や1782年、1703年などにも大地震が起きている。)

  尾田氏は、地震発生の時間や天候など、さまざまなシナリオに基づいて人命や建物が被る損失を試算した。同氏のリポートを用い、東海銀行に勤務していた日本人エコノミストも地震が経済に与える影響度合いを計算した。

           15万2000人死亡か

  両氏の試算はいずれも衝撃的な数字だった。尾田氏が最もあり得るとするシナリオでは、15万2000人が死亡し、80万棟のビルが倒壊、物的被害は約1兆ドル(約79兆円)。東海銀のエコノミストは金利水準が5ポイント上昇、経済成長が急激に落ちて資産価格が急落すると予想した。しかもこれらすべてが米国で起きると指摘した。

  それがこうした頭の体操から導き出された構図だった。つまり、大地震が来たら日本で多くの人命が失われる一方、復興に向けた海外資産売却によって金融面の痛みは外国が負うというものだ。

  自然災害の高いリスクと常に隣り合わせで生きていかねばならない国にはかなりの災害保険の備えができているが、その保険の売り手はわれわれ外国だということだった。

  当時の研究にはもっと多くの詳細が盛り込まれていたが、ここで全てを振り返るつもりはない。ただ、23年前に想定されたことを実際に現在起きていることと比較するのは興味深い。

ギャップ

  想定されたものと東京が実際に経験した地震は別物だ。本物は東京にかすかな打撃を与えたにすぎない。金融損失額も、今のところは1兆ドルといった数字ではないようだ。ただ1988年当時、原子力発電所で事故が起きるとは誰も思っていなかった。

  今回の地震に対する金融市場の反応もせいぜいが、1988年当時に考えられたシナリオに近いという程度だ。想定では日本政府や民間保険会社が円を確保するためにありとあらゆる外貨建て資産を売り、円が急上昇するというものだった。そして、現実に円は上がっている。しかし、巨額の刺激策と輝ける経済の将来を期待して買われると当時思われていた日本株は、ひどく急落している。

  想定と現実が違ったのには理由がある。市場は1988年ほど、日本経済の将来に期待していない。想定シナリオから派生する金融絡みの最も大きな唯一の疑問点は、日本が資金回帰させたいと考えた場合に米国がどれほどの影響を受けるのかという点だった。今はこれにもう一つの疑問が加わる。それは、日本が資金回帰させたいだけではなく、実際にそうすることが必要になった場合、日本にどれだけ混乱が起きるのかということだ。

             日本の変化

  この疑問こそが、現実と想定の比較から湧いてくるものだ。当時と現在ではいかに状況が変わってしまったかの表れでもある。1988年の日本は高い貯蓄率や巨額の貿易黒字を抱え、経済と株式市場も活況で、日本が立ち直ることは明らかだった。けれども現在の日本はほとんど絶望を感じる状況だ。

  日本の国内総生産(GDP)に対する債務割合は225%超と、先進国中で最大でギリシャのほぼ2倍。政府は依然として約9000億ドルの米国債を保有しているが、国民から巨額に借り入れ、その一部を米国債購入に充ててきた。人口は高齢化して減少し、貯蓄も減る。これまで日本国債の最大の買い手だった公的年金も、最近は売り手に回った。

  日本がいずれデフォルト(債務不履行)ないし債務再編を迫られるとみていた米ヘッジファンドのヘイマン・アドバイザーズは、3ポイントの金利上昇で、元利払いだけで全ての税収を日本政府が使い切ってしまうと試算している。

           資源豊かだった日本

  地震が起きる前の状況で既に、日本には恐らく多くの外国人に国債を買ってもらう必要があった。そうした外国人は日本の公的年金がよしとする水準をはるかに超える水準の金利を要求するだろうし、実際に上がった。

  1988年の日本には、震災に伴うはるかに高いコストをカバーできる資源があった。当時の大きな疑問は、日本資本への依存が高まりつつあった人々に与える金融の影響だった。

  金融界は落ち着かなくなり、日米間の状況は持続不可能に思えた。だからこそ、米国の雑誌編集者は東京に大地震が来た場合の影響に関心を持ったのだ。今や、日本人自体が実質的に破綻したシステムを維持しようとピリピリしている。

  1988年を振り返ると、金融の世界は最悪の事態を想定する人間にとって脆弱(ぜいじゃく)で不安定に思えたものだが、今日の世界において、安定性はさらに損なわれ、一段と脆弱になったように見える。しかも最悪の事態はまだ起きていない。(マイケル・ルイス)

(マイケル・ルイス氏はブルームバーグ・ニュースのコラムニストで、最新作の「The Big Short」はベストセラー。このコラムの内容は同氏自身の見解です)

2011年3月17日木曜日

欧米各国に広がる退避の動き…米は80km圏外

福島第一原発の事故を受け、日本政府は同原発から半径20キロ・メートル以内の住民に避難指示、半径30キロ・メートル以内の住民に屋内退避要請を出しているが、諸外国はこれを上回る広範囲で退避を指示したり、退避検討を要請したりしている。

 英外務省は16日夕(日本時間17日未明)、福島第一原発での事故により「物資の補給や交通などに混乱が発生する恐れがある」として、東京及び東京以北に住む英国人に対し、退避を検討するよう求める勧告を出した。これまでは、東京都及び東京以北に不要不急の渡航はしないよう勧告していたのを改めた。17日には仙台から東京まで、英国民が退避するための無料バスを用意する。

 ロシア外務省は16日、在日ロシア大使館などで働く外交官らの家族について、18日をめどに日本から一時退避させることを決めたと発表した。ロシア外務省の声明によると、対象となるのは大使館や通商代表部、各地の総領事館で勤務する外交官の家族。大使館員らの退避は今のところ行わないという。ロシア外務省は地震発生翌日の12日から、日本への渡航自粛を呼びかけている。

 米政府は16日、米国人に対し、福島第一原発から50マイル(約80キロ)圏外への退避を勧告。退避用のチャーター機派遣も準備している。

 フランスやポルトガルは、日本から出国するか東京から退避することを求めている。イタリアも出国を勧告した。オーストリアは特に子供を持つ家庭に対し、一時出国か東京・横浜からの退避を勧告した。

 スイスとオランダは首都圏と被災地からの一時退避を勧告した。オーストラリアは、被災地を含む1都8県からの退避を検討するよう求めている。台湾も高齢者、子供、女性に対して、出国を検討するよう求めた。

 バングラデシュ政府は「放射能の影響がない、より安全な地域」へ自国民を移動させるよう、在日大使館に指示した。

 フランスやベルギーは、出国する自国民に対して軍用機などを派遣しているほか、イタリアも飛行機の増便を検討している。

(2011年3月17日12時47分 読売新聞)

在日英市民「東京などから退避検討を」 英外務省

【ロンドン=橋本聡】英外務省は16日午後6時(日本時17日午前3時)すぎ、日本にいる英国人に対し、東京と東京の北部からの退避を検討するよう呼びかけた。

 ジェレミー・ブラウン外務副大臣は英BBCテレビに「福島原発の状態悪化や、食料、交通、通信などインフラが混乱する恐れがある」と説明。日本にとどまる場合はバスや鉄道で西部や南部に移ることも考慮するよう助言した。

国際原子力機関の危機対応能力に疑問符

2011年 3月 17日 (木)
WSJ
先週11日の震災後、米国をはじめ各国が日本に専門家チームを派遣しているが、IAEAの天野之弥事務局長をはじめ同機関のチームはまだ現地入りしていない。IAEAの職員は、全力を尽くしているが日本の協力が得られないことに困惑していると述べている。

 世界が日本の原発事故の客観的なリスクや先行きの見通しについてIAEAの分析をに期待している。しかし同機関は迅速に専門家を派遣せず、日本政府からの情報にほぼ全面的に依存していた。

 IAEA職員は時宜に適した情報なしに、情報を提供しようと奮闘していた。そして14日には、福島の原発で完全なメルトダウンの前段階である燃料溶解の兆しはないと語っていた。日本政府が12日には公にその兆しを認めていたにもかかわらずだ。

 こうしたIAEAの実情は、限られた人員と原発の安全性の監視役というイメージの間にギャップがあることを浮き彫りにした。

 こうしたIAEAのイメージは同機関内部でも積極的にアピールしようとしたものであり、地震後、同機関の支援体制について天野事務局長が説明するビデオを作りユーチューブで視聴できるようにして宣伝していた。

 だが、こうしたイメージは誤解を招くという専門家は言う。IAEAには多くの原子力の安全対策の専門家がいるが、危機管理能力は弱いという。

 同機関はイランなどが国際的な核兵器に関する条約を順守しているかなどを監視するなどの役割で知られているが、1957年の設立以来、主な役割は原子力の平和利用を推進することだった。

 チェルノブイリ原発事故のときにソビエト連邦の専門家チームのトップだったアンドレーエフ氏は、チェルノブイリの事故直後、ソ連政府はIAEAからの情報提供の求めに対し虚偽の情報を提供していたと明かし、「IAEAには、危機に対応できる専門家はいない」と述べた。

 IAEAの事務局長が日本の原子力行政に詳しい元政府高官であるだけに、同機関が日本の情報を十分に把握できていないのは驚きだ。

 天野局長は17日、日本に赴く。政府高官との会見を調整しているが、16日時点でハイレベルの会談は決まっていないという。また福島の原発を訪れ、対応に当たっている人々に会い意見交換したい意向を表明した。またIAEAの危機収拾に向けた協力を強化する一方、日本政府からの情報提供を改善するよう求めるという。

 IAEAのウェブサイトは日本の事故以降アクセスが集中してつながらなくなった。そのため報道機関に対し電子メールで、ソーシャル・ネットワーキング・サービス、フェイスブック上に設けたページにアクセスするように求めていた。

円急騰の本邦勢リパトリ主犯説は誤り、海外勢の円調達困難が背景

[東京 17日 ロイター] 対ドルで76.25円という変動相場制移行後の最高値をつけた円相場の急騰は、日本資産に投資していた海外勢が、東日本大震災を受けて円資金の調達困難に陥ったことが主因だ。

 海外勢はドル/円スワップ取引等を通じて円資金調達し、日本株や社債などに活発に投資していたが、円の流動性を確保するため日本資産の取り崩しを実施。しかし、円返済に必要な十分な円が調達できず、円需要が一段と高まった。

 また、証拠金取引による円売りポジションの損切りもドルの下げ足を速めた。

 ドルは前日ニューヨーク終盤の79.60円から朝方一時76.25円まで3円以上急落した。その後は神経質な値動きのなか79円後半まで値を戻した。「朝方の取引では、証拠金取引による損失確定のドル売りオーダーがかさむ中で、国内銀がドル/円気配値の提示を控えていた。実際に値が付いた時は76.25円まで切り下がっていた」(外資系金融機関)という。

  <外国勢の円調達困難> 

 ドルは16日の海外市場で既に79.56円まで下落し、1995年以来16年ぶりの安値を更新していた。背景は、海外勢が円資金の確保に動いたこと。他方、生損保による海外資産の取り崩しは、これまでのところまとまった規模で出ておらず、日本勢が海外資産を取り崩す日本へのリパトリエーション(本国への資金還流)の動きは目立っていないという。 

 「円の借入を通じて、日本株や社債を買っていた海外勢が、震災後に日本の資産価格が急落したことで、追加証拠金を差し入れる必要(マージン・コール)が生じたため、円需要が高まった。ポジションを投げ売ったが、十分な円を確保できなかった」(運用会社ファンド・マネージャー)という。
財務省の統計によると、外国勢(非居住者)は昨年9月から今年2月までの半年間に、日本株を2.96兆円買い越し、日本の中長期債を1.16兆円買い越し、日本の短期債を8.61兆円買い越している。 

 巨大な日本資産への投資規模に対して、海外勢の円保有額はごく限定的であり、海外勢の日本資産投資には通貨スワップ取引などを通じた円の借り入れを伴う。しかし、震災で資産価値が急落したため、マージンコールが発生し、円資金需要が急激に高まった。 

 日銀は、震災後の短期金融市場に対して、過去最高規模の流動性を供給しているが、海外ファンド等は、在京外資系金融機関を通じて、必要・十分な規模での円資金を確保することが困難となり、それが一方では円需要を一段と高め、他方では、円資産の投げ売りを誘ったという。 

 ドル/円通貨フォワード取引では、今週に入ってドル・プレミアムが拡大し、円金利がドル金利より高いという現象が起きている。「昨日、オーバーナイト物は円金利に換算して5%まで上昇した。海外勢は円調達をスワップ取引等に頼り過ぎていた。震災で円の流動性は当然タイトになって、円調達困難に直面した」(在京外資系金融機関)

 この日の取引では、海外勢のポジション解消が進んだため、ドル・プレミアムが縮小したが、市場は依然不安定で、高い金利を支払って円資金を調達する状況が続いている。

 現時点で、ドル/円フォワードのオーバーナイト物はプラス0.5銭の気配。  

  <日本勢のリパトリは作り話>  

 海外市場参加者の一部では、震災による保険金支払いを確保するために、生命保険や損害保険会社が海外資産を取り崩して資金を日本回帰(リパトリ)させているとの思惑が広がったが、東京勢はそうした動きに懐疑的だ。
「生保、損保が米債を売って、日本に資金を戻しているというのは、作り話だろう」(前出のファンド・マネージャー)という。

 与謝野馨経済財政担当相は17日、外国為替市場で円が史上最高値を更新したことを受け、生命保険や損害保険会社が大地震で保険金の支払いが増えるため海外資産を売却し、日本へ円転する可能性があるとの思惑が市場で出回っていると指摘。「事実と全く異なる。保険金を支払うにしても、国内にある円資産で十分過ぎる支払い能力を持っている」との見方を示した。   

 他方、円資産を処分していない海外勢の間では、円資産ヘッジのためのドル買い/円売りもみられ、この日のドルの反発を支援している。

外資系金融機関、一部の駐在員が東京を離れる動き

[16日 ロイター] 外資系金融機関の駐在員のなかに東京を離れる動きがでている。
 関係筋によると、地震と福島原発の事態を受けて、BNPパリバ(BNPP.PA: 株価, 企業情報, レポート)、スタンダード・チャータード(STAN.L: 株価, 企業情報, レポート)、モルガン・スタンレー(MS.N: 株価, 企業情報, レポート)などの一部スタッフ(訂正)が日本を離れている。

 東京での本国などから派遣された駐在員の割合は10%以下といわれている。ただ、多くが管理職のため大きな影響が出る可能性がある(訂正)。

 このようななか、人員引き揚げへのプライベートジェットの需要が増しているという。

 スタンダード・チャータードのナイト在日総支配人は16日にロイターに対し、「状況を注視しているが、今のところ業務は通常どおり」と述べた。スタンダード・チャータードをはじめ、シティグループ(C.N: 株価, 企業情報, レポート)、JPモルガン(JPM.N: 株価, 企業情報, レポート)、モルガン・スタンレーも業務は通常どおりとしている。

 関係筋はIFRに対し、モルガン・スタンレーはクレジットチームを東京から移したと述べた。しかし同社の広報担当者は日本から離れたスタッフはいないと否定している。

 BNPパリバのダニエル・ボイド広報担当は、業務継続の観点から900人のうち10人を日本から移したと述べた。

 事情に詳しい関係筋によると、スタンダード・チャータードでは一部の幹部が12日朝に東京を離れ、香港とシンガポールに向かった。一方、スタンダード・チャータードの広報担当者は否定している。

独ポルシェ:日本本部を東京から変更-ミューラーCEO

3月17日(ブルームバーグ):ドイツの自動車メーカー、ポルシェは17日、同社の乗用車生産部門が日本の本部を東京から日本の南部の地域に移したことを明らかにした。

  マティアス・ミューラー最高経営責任者(CEO)がシュツットガルトでの記者会見で述べた。

暴れる巨大エネルギー 静岡誘発? 富士山噴火懸念

産経新聞 3月16日(水)15時22分配信

静岡県東部で震度6強を観測した15日深夜の地震は、11日の東日本大震災をもたらした巨大地震で誘発された可能性が大きい。震源付近では巨大地震の直後から箱根で群発地震が起きており、富士山の火山活動の活発化を懸念する声も出始めた。マグニチュード(M)9・0という巨大エネルギーの“余波”が日本列島を揺さぶっている。

 「この場所で過去に地震はあまり起きていない。想像外だ」。防災科学技術研究所・地震研究部の松村正三研究参事は15日夜、驚きの言葉を口にした。

 巨大地震の発生後、内陸で大きな地震が相次いでいる。12日の長野県北部の震度6強(M6・7)に続き、今度は伊豆地方でM6・4の地震が起きた。 海溝型の巨大地震が発生すると、地殻にかかる力が変化し、内陸直下型の地震が起きることがある。津波で約2万2千人が死亡した明治29年の三陸沖地震(M8・2)では、約2カ月後に秋田県で陸羽地震(M7・2)が起きた。

 ただ、今回の伊豆地方の地震は、巨大地震の三陸沖から遠く離れている。プレート(岩板)構造も巨大地震が太平洋プレートの沈み込み帯だったのに対し、伊豆地方はフィリピン海プレートが陸側に衝突する場所と、まったく違う。

 松村氏は「巨大地震は太平洋プレートの北半分が滑ったが、南半分はまだ動いていない。房総半島あたりで踏ん張っている南半分の力のしわ寄せが及んで、西隣のフィリピン海プレートを押し込んだのではないか」と話す。

 京都大防災研究所・地震予知研究センターの遠田晋次准教授は、東日本大震災の巨大地震で地殻の断層にかかる力がどのように変化したかを計算した。その結果、東北地方の北上山地や房総半島東沖にかかる力が顕著に増加したほか、長野県の一部などでわずかに増加し、地震活動が活発化するとの結果が出た。

 東日本大震災の地震エネルギーがあまりにも巨大だったため、地震学者の多くは、日本列島は東日本を中心に地震の活動期に入ったとみる。ただ、今回の伊豆地方の地震と東海地震の関係については「震源域やメカニズムが違う」(気象庁)と否定的だ。 巨大地震の影響は火山帯にも及んでいる。神奈川県温泉地学研究所によると、箱根火山の周辺では巨大地震の直後から群発地震が発生し、15日夕までに最大M4・8の地震を約850回観測した。

 火山活動に目立った変化はないものの、カルデラ内で揺れを感じることもあるという。

 名古屋大地震火山・防災研究センターの鷺谷威教授は「火山の地下はマグマや熱水で壊れやすいため、群発地震が誘発された」とした上で、「正直に言うと、気持ち悪いのは富士山との関係だ」と明かす。

 富士山の直下では約10年前、マグマ活動との関連が指摘されている低周波地震が頻発した。その後、静穏化したが、今回の伊豆地方の地震の震源の深さ約14キロは、この低周波地震の震源に近いという。

 鷺谷教授は「富士山は宝永の大噴火から約300年が経過し、いつ噴火してもおかしくない。今回の地震が引き金になる可能性もあり、推移を注意深く見ていきたい」と話している。 静岡県で最大震度6強を記録した地震で、同県の負傷者は計33人になったことが分かった。同県によると、静岡市の男性(35)が右足首骨折の恐れがある重傷で、他は全員軽傷という。警察庁によると、神奈川県の負傷者もいずれも軽傷だが、3人となった。

TDL・お台場、専門家が「液状化激しい」

読売新聞 3月16日(水)19時11分配信

 東日本巨大地震は、東京湾臨海部の埋め立て地で激しい液状化を引き起こしていることが、専門家の調査で明らかになった。

 営業休止になった千葉県浦安市の東京ディズニーランドと東京ディズニーシーの周辺の液状化調査を行った東京電機大の安田進教授(地盤工学)は、「ディズニーランドの駐車場は広範囲に液状化しており、駐車していた車が砂にはまって動けなくなっていた。付近では電柱が大きく傾いたり、学校の建物の周囲が50センチ程度沈下したりしていた」と話す。道路の中央が跳ね上がり、一方の側だけが大きく沈下している場所もあった。

 また、東京のお台場から新木場周辺の埋め立て地を調査した愛媛大学の森伸一郎准教授(地震工学)は「30センチほどの噴砂や、マンホールの浮き上がりなど、激しい液状化がみられた。舗道の敷石が割れたり、建物の塀も傾いていた。ゆるやかな傾斜に従って、液状化した土壌が低い方に流れる側方流動が起きたのだろう」と分析する。

 土壌は通常は砂が互いに支え合い、その間を地下水が満たしているが、地震による振動で支え合いが壊れると、水の圧力が高まり土壌は泥水のように液状化する。地表面に弱い部分があると、泥水が噴き出し、水が乾いた後に大量の砂が残る。地盤は沈下したまま戻らない。埋め立て地は地盤がやわらかく、液状化しやすい。阪神大震災でも人工島で大規模な液状化が起きた。

2011年3月16日水曜日

米アフラックがアヒル声優解雇、ツイッターに震災ジョーク

[ニューヨーク 14日 ロイター] 日本で外資系保険会社1位の米アフラックは14日、同社のCMでアヒルの声を担当するコメディアン、ギルバート・ゴットフリード氏が東日本大震災に関するジョークをツイッター上に書き込んだとして、同氏の解雇を発表した。
 ゴットフリード氏は2000年から同社のキャラクターであるアヒルの声を担当していたが、11日の震災発生後から週末にかけて、地震や津波に関するジョークをツイッター上で連発していた。

 アフラックは、ゴットフリード氏の書き込みが「アフラックの考えや心情を代弁するものではない」とコメント。すでに日本向けのCMでは違う人の声に変更したという。

〔BOJウオッチャー〕震災・原発懸念で資金の出し手不在、空前規模の資金供給継続へ

日銀は東日本大震災を背景とした金融市場の動揺を抑えるため、3日連続で大規模な即日資金供給オペを実施、合計の即日供給オペの通告額は空前の26.5兆円に達した。震災に加えて東京電力福島第1原子力発電所の事故の深刻化で、短期金融市場では資金の出し手が不在となっている。市場参加者のリスク回避姿勢に改善の兆しが見えない中、日銀は17日以降も万全の態勢で市場を注視する構えだ。

 日銀は14日、1日当たりとしては過去最大となる合計15兆円の即日資金供給を実施。15日に8兆円、16日にも3兆5000億円と3日間合計で26.5兆円を即日で供給した。過去に日銀が実施した即日供給の最高額がリーマン・ショック直後の4.5兆円であり、巨額の供給を連発しているのがわかる。先日付の資金供給を含めると、3日間で55.6兆円の供給を打ち出している。

 巨額資金供給の狙いについて白川方明総裁は14日の会見で、「先行きの不確実性が高い状況となったため、金融市場において市場参加者が予備的な資金需要を大きく増やし、金融機関が多くの資金を保有しようとする状況となった」とし、「短期金融市場はすべての金融活動の出発点。中央銀行としては、この金融市場の安定をしっかり確保し、資金面に関する不安を解消させることが非常に重要であると判断した」と狙いを説明した。実際、全国地方銀行協会の小川是会長(横浜銀行(8332.T: 株価, ニュース, レポート)頭取)は16日の定例会見で、震災後の地銀の資金繰り懸念について「日銀が震災直後から(潤沢な資金供給で)直ちに手を打ったこともあり、そのような懸念は聞いていない」と評価している。


 現実には、11日午後の震災発生直後から16日夕刻現在まで短期金融市場では資金の出し手不在から金利上昇圧力が高まっており、日銀による大規模な供給で無担保コール翌日物金利を政策目標の1.0%以下に抑え込んでいる格好だ。日銀の一連の金融緩和策もあり、これまで翌日物金利の平均は0.1%を下回って推移してきていたが、14日は平均で0.109%まで強含んだ。翌15日も0.103%と0.1%を上回り、16日になって3営業日ぶりに0.092%に収まった。

 クレディ・アグリコル証券の加藤進チーフエコノミストはこうした金利上昇圧力について、金融機関のリスク回避姿勢に加え、資金調達需要の高まりもあると指摘する。加藤氏によると、背景には「東北地方の金融機関向けの現金需要や、首都圏などでの生活物資買い占めのための現金需要など日銀の想定以上の資金需要がある」という。日銀は16日までに東北地方の金融機関に対して12日以降、累計2310億円の現金を供給したと公表している。

(東京 16日 ロイター)

独SAP:東京オフィスを閉鎖、従業員は在宅勤務-震災対応

3月16日(ブルームバーグ):経営管理ソフトメーカー最大手、ドイツのSAPは、東京オフィスを閉鎖し従業員に自宅から業務をするよう求めたと明らかにした。東日本大震災への対応。

  日本の従業員は約1100人。その大半が東京在勤。同社は従業員と家族のために大阪と神戸でホテル520室を確保したと、広報担当のアンジェリカ・ファーラー氏が述べた。

キャセイ航空:16日に東京発の臨時便2便を運航-需要「急増」で

3月16日(ブルームバーグ):香港のキャセイ航空は、16日に東京発の臨時便を2便運航すると明らかにした。

  ジョン・スローサー最高執行責任者(COO)は同日、電子メールで「香港やほかの地域への帰郷を望む人々による需要が急増している」と発表した。キャセイの乗務員は東京で宿泊しないとしている。

日本は保有する米国債を売却も、地震受け-ブラウン・ブラザーズ

 3月14日(ブルームバーグ):ブラウン・ブラザーズ・ハリマンは、日本が東北地方太平洋沖地震の復興費用を賄うため、米国債を含め、保有する海外資産の一部を売却する可能性があるとの見方を示した。

  ブラウン・ブラザーズ・ハリマンの新興市場ストラテジー責任者、ウィン・シン氏はブルームバーグラジオのインタビューで、「大規模な財政支出の必要性が再び出てきたようだ」とし、「国内で復興費用を調達する必要がある場合、保有する海外資産を一部売却しなければならないかもしれない」と述べた。

  日本の外貨準備資産は中国に次いで2番目の規模。米財務省のデータによれば、日本の米国債保有高は昨年12月時点で8820億ドルと、海外投資家が保有する発行済み米国債全体のほぼ5分の1に相当する。

  地震が発生した11日の外国為替市場では、円がドルに対して一時1.6%高と、昨年8月以降で最大の上げとなった。保険会社などが損害補償を支払うために円を買い戻すとの観測が強まった。

  シン氏は円について、1995年の阪神・淡路大震災後に見られたような円高にはならないとの見方を示した。当時は震災後の3カ月間で円はドルに対して約20%上昇した。

  同氏は「阪神・淡路大震災時の記憶から、今回の地震直後も円が上昇した」とした上で、「円が極めて大幅に上昇するとの見方があるが、私は今回はそうした要素があるとはあまりみていない」と述べた。

「全世界がうらやむ国に」=復興信じるとオノ・ヨーコさん

時事通信 3月15日(火)12時1分配信

 【ワシントン時事】ビートルズの故ジョン・レノンの夫人でアーティストのオノ・ヨーコさんは14日、東日本大震災に関し、第2次世界大戦後に急速な発展を遂げた日本が再び復興を果たすのを信じていると語り、「日本は初めて全世界がうらやむ国になる」と述べた。
 オノさんはCNNテレビの番組で、終戦後に空襲で焼け野原になった東京を見た時の思い出を振り返り、「(今回の状況が)非常に似ている」と指摘。その上で「われわれは信じられない形で復興を遂げた」と話した。
 さらに、「われわれの気持ちは一つ。日本人が持つエネルギーと回復力、知恵を振り絞らなくてはならない」と述べ、復興に力を合わせるよう呼び掛けた。

Marc Faber On The Japanese Disaster, On A 20% Market Correction And On QE18

Marc Faber appeared earlier on CNBC in response to a plunging market, and gave his latest updated outlook on QE3... and 4, 5, 6, 7 and 8 (not to mention 18). "We may drop 10 to 15 percent. Then QE 2 will come, (then) QE 4, QE 5, QE 6, QE 7—whatever you want. The money printer will continue to print, that I'm sure. Actually I made a mistake. I meant to say QE 18." Faber was modestly constructive on the Japanese selloff, which at one point hit 18% down in overnight futures trading: "This huge selloff is an investment opportunity in Japanese equities, but if a meltdown occurs then all bets are off." As usual, there is no love loss between Faber and the Chairsatan (recall that today's Empire Manufacturing survey confirmed margins continue to be crushed due to surging input costs): "I think Mr. Bernanke doesn't know much about the global economy but he probably watches the S&P every day." And on Fed criticism: ""Until very recently the Feds have had very few critiques, very few people criticized the Fed's policies under Mr. Greenspan and Mr. Bernanke. Over the last few months, a lot of critical comments have come up about the Fed and its money-printing habit. The S&P drops 20 percent (and) all the critics will be silent and they will all applaud new money-printing." No fear of that here: Zero Hedge has been rather vocal in our opinion of the world's most destructive central planning buro from day one. We will continue being so, regardless how low the S&P plummets... Perhaps even to its fair value south of 500.

2011年3月13日日曜日

日銀の地震対応で円は対ドルで下落か-シティグループ

3月11日(ブルームバーグ):日銀は日本の観測史上最大の地震で打撃を受けた国内経済の支援に動くため、円はドルに対して下落する可能性があると、シティグループは指摘した。

  日銀は東北地方太平洋沖地震に対応するため災害対策本部を設置した。今月14日に金融政策決定会合を開く。シティグループの通貨ストラテジスト、アンドルー・コックス氏によれば、日銀は昨年10月に開始した5兆円規模の資産購入プログラムを延長する可能性がある。日銀はデフレ収束に向けて既に事実上のゼロ金利政策を取っている。

  円は11日、対ドルで昨年8月以来最大の上昇を記録した。保険会社や金融機関などから復興資金用の円需要が増えるとの観測が背景。コックス氏は電話インタビューで「円の当座の反応は、リパトリエーション(自国への資金回帰)の流れが相当規模になるとの見方が要因だ」と述べた上で、「しかしこれは一時的な反応にすぎないとわれわれは考えている。市場は間もなく実施される金融政策対応を間違いなく手掛かりにするだろう」と指摘した。

世界の再保険会社、日本の地震のコスト回避か-大半は日本で吸収

3月12日(ブルームバーグ):欧米の再保険会社は日本の観史上最大規模の地震に関連したコストを回避できる可能性がある。日本の政府や国内保険会社、保険未加入の不動産所有者が損失の大部分を引き受けるとみられるためだ。

  スタイフェル・ニコラウスのアナリスト、メイヤー・シールズ氏は、日本の保険会社と政府が支援する再保険プログラムが応分を支払うため、世界の再保険会社が直面するコストは「100億ドル(約8184 億円)前後」となる見込みだと述べた。

  米地質調査所(USGS)の観測でマグニチュード(M)8.9の東北地方太平洋沖地震で大津波が誘発されており、多数の犠牲者が出ている。11日の欧州市場ではミュンヘン再保険やスイス再保険の株価が下落したが、米国市場では一部の再保険株がほぼ変わらずの動きだっ た。

IAEA:日本はヨード剤の配給を準備、炉心の状態見極め中

 3月12日(ブルームバーグ):国際原子力機関(IAEA)によると、日本政府は東京電力福島第1原子力発電所と同第2原発の周辺の住民にヨード剤を配給する準備を整えている。

  IAEAは「日本の原子力安全・保安院から、第1原発1号機で爆発があり、現在炉心の状態を見極めているとの通知を受けた」とのコメントを電子メールで発表した。

  さらに、「両原発の周辺住民にヨード剤を配給する準備が進められているとも通知を受けた」とし、「IAEAは日本政府から要請があれば、技術支援を提供する意向であるとあらためて伝えた」と続けた。

NY外為(11日):円は対ドルで大幅高-地震に伴う円需要見込む

3月11日(ブルームバーグ):ニューヨーク外国為替市場では、円が対ドルで8月以来の大幅上昇。日本を襲った東北地方太平洋沖地震で、投資家が今後の円需要を見込み買いを入れた。

円は主要通貨すべてに対して上昇した。東北大地震により保険会社などが損害補償を支払うために円を買い戻すとの観測が強まった。ユーロは週間ベースで対ドルでの下げ幅を縮小した。欧州債務問題をめぐる進展が好感された。ブラジル・レアルは下落。政府当局者がレアル上昇のさらなる抑制措置を検討していると述べたのが手掛かりだった。

ドイツ銀行のG10為替ストラテジーの世界責任者アラン・ラスキン氏(ニューヨーク在勤)は、「一般的に復興プロセスというのは円にとってポジティブだと考えられている」と述べ、「市場の関心は資金の国内への送金(レパトリエーション)に集まっている」と続けた。

  ニューヨーク時間午後4時11分現在、円は対ドルで1.3 %上昇して1ドル=81円87銭。円は対ユーロで0.6%高の1ユーロ=113円86銭。ユーロは対ドルでは0.8%高の1ユーロ=1.3906ドル。一時は0.3%安まで下げていた。

地震直後の円は対ドルで0.4%安、対主要通貨すべてで下落する場面もあった。

阪神大震災直後の円

円は1995年に発生した阪神・淡路大地震後の3カ月で対ドルで約20%上昇した。

みずほコーポレート銀行国際為替部の荒井守参事役によると、今回の大地震による影響は、阪神大震災直後とは異なる可能性があると指摘する。同氏は、阪神大震災当時は日米間で貿易戦争が起きていたのに対し、今は日米間で経済的な障害があるわけではないので、円が大幅に上昇するとは考えにくいと指摘する。

ユーロは週間ベースで対ドルで0.7%下落。前週までは3週連続で上昇していた。

ファンロンパイ欧州連合(EU)大統領は11日、ユーロに関する協定を巡りユーロ圏首脳会議が原則合意に至ったと発表した。

  同大統領の事務所は、「包括合意の他の要素についての協議がまだ続いている」との声明を出した。

包括的救済案の承認期限は今月25日となっている。

レアル高の抑制

ブラジル政府は、通貨の上昇を抑制するための新たな措置を検討している。外国人投資家に対し、株式投資の一定期間の国外移転を禁止する措置もこれに含まれている。計画に詳しい政府当局者が11日に明らかにした。

ブラジル・レアルは対ドルで0.2%安。一時は0.1%高まで買い進まれている場面もあった。

ブラジル政府は昨年10月、外国人投資家の債券購入に伴う税率を3倍引き上げて6%とした。このほかブラジル中央銀行によるスポット市場でのドル買いや、国内銀行のドル売り持ち高に対し準備率を設定するなど、ブラジルはレアル高の抑制に努めてきた。

朝方は発表された2月の米小売売上高は前月比で1%増と4カ月ぶりの大幅な伸びを記録したが、この日のドルは円に対して軟調に推移した。