2010年12月23日木曜日

うその名前で金取引 追徴課税も

12月22日 19時40分  NHKニュース
金が歴史的高値となるなか、金の延べ板を業界大手の三菱マテリアルに売った数百人の客が、うその名前で取引していたことが明らかになり、国税当局が一斉税務調査に乗り出し、客に対する追徴課税処分を進めていることが関係者の話で分かりました。金の匿名取引は脱税やマネーロンダリングの温床になると指摘されていて、三菱マテリアルは「国税局の指導を受け、ことし7月から法律上の義務はないケースでも本人確認を行うよう改めた」としています。

大量の客による匿名取引が見つかったのは、東京・千代田区にある非鉄金属大手、三菱マテリアルです。関係者によりますと、東京国税局がことし4月から三菱マテリアルに対して行った税務調査で、去年までの5年間に金の延べ板を売った数百人の客が、うその名前で取引を行っていたことが分かったということです。このため、国税当局が客への一斉税務調査に乗り出したもので、これまでに、企業経営者ら10人ほどが金の匿名取引で得た利益を税務署に適正に申告していないことが分かり、追徴課税の処分を行ったということです。匿名取引をした客の中には、1人で数億円分の取引をした客もいて、脱税など不正な手口で得た資金をいったん金を購入することで隠し、歴史的な高値となっている今のうちに売ろうとしたとみられています。匿名での金の取引は脱税やマネーロンダリングの温床になることから、法律では、200万円を超える取引では本人確認が義務づけられているほか、少額の取引を繰り返すなど犯罪性が疑われる取引についても本人確認をすることを求めています。このため、業界大手の多くは、少額の取引であっても本人確認を行っていますが、三菱マテリアルは、同じ日に同じ窓口で数回に分けて金を売った客や、複数の名前を使った客がいたのに、1回の取引が200万円以下だったとして本人確認を行っていませんでした。金を売った客の1人は「本人確認がなかったので、適当な架空の名前を書いても問題なく売ることができ、利用しやすかった」と話しています。これについて、三菱マテリアルは「国税局の指導を受け、ことし7月からは、法律上の義務はないケースであっても、すべての取引について免許証などで本人確認を行っている」としています。

2010年12月22日水曜日

FRB:ECBや日銀などとのスワップ協定、来年8月1日まで延長

12月21日(ブルームバーグ):米連邦公開市場委員会(FOMC)は、欧州中央銀行(ECB)をはじめ日本やカナダ、スイス、英国の中央銀行との間で取り決めているドルのスワップ協定を2011年8月1日まで延長することを承認した。

  5月に締結されたこの協定は来年1月に終了する予定だった。米連邦準備制度理事会(FRB)が21日、声明で発表した。



日銀:米ドルスワップとドル資金供給オペを来年8月1日まで延長

12月21日(ブルームバーグ):日本銀行は21日夜、米連邦準備制度理事会(FRB)との間で締結している米ドルスワップ取り決めと米ドル資金供給オペの期限を来年1月末から8月1日まで延長したと発表した。同日開いた金融政策決定会合で決定した。

  日銀は2008年9月、リーマンショックによる国際金融市場の混乱に対応するためFRBとの間で同取り決めを締結。2月にいったん終了したが、欧州の米ドル短期金融市場で緊張が再び高まっていることに対応して、5月10日に臨時の決定会合を開き再開を決定した。



ECB:FRBとのドル・スワップ協定を延長-来年8月まで

12月21日(ブルームバーグ):欧州中央銀行(ECB)は21日、米連邦準備制度理事会(FRB)とのドル・スワップ協定を2011年8月まで延長すると発表した。

  FRBはカナダ銀行、イングランド銀行、日本銀行、スイス国立銀行との間でもスワップ協定を延長した。

  ECBによると、ドル資金供給オペは引き続き期間7日のレポを通じて行う。適格の担保に応じて供給する。固定金利での入札で応札額全額を供給する。

  次回のドル供給オペは22日に実施し翌日決済。同オペは年末越えの資金を供給するため、例外として14日物とする。

2010年12月21日火曜日

米景気予想:強気に転換、新興市場混乱で-ゴールドマンのオニール氏

12月20日(ブルームバーグ):バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長から中国の温家宝首相に至る世界の主要国の政策当局者が経済面で優位に立とうと競う中、来年は米国が抜け出す可能性がある。米ゴールドマン・サックス・グループの資産運用部門、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント(GSAM)のジム・オニール会長がこうした見方を示した。

  オバマ米大統領が今月、ブッシュ減税延長で共和党と合意したことを受け、ゼネラル・エレクトリック(GE)など米国の企業やエコノミスト、消費者は来年の見通しに対する自信を強めた。年末に向け米経済成長が加速する一方、欧州はソブリン債危機の泥沼に陥り、中国など新興国は経済に大きなつけを残すインフレの急速な進行の抑制に苦しんでいる。

  オニール氏は「この最新の『ニューノーマル(新たな標準)』は、米国がかなり好調な様相を示すというものだ」と説明した。

  8230億ドル(約69兆円)相当の資産運用に携わるオニール氏は先週、ラジオ番組「ブルームバーグ・サーベイランス」でトム・キーン司会者のインタビューに答え、「こうしたことを背景に、投資家は米国を見直している」と指摘。これは「いわゆる新興市場と米国の間での資本の全体的な配分の問題を提起している」と述べた。同氏は、ブラジル、ロシア、インド、中国の新興4カ国を「BRICs」と命名し、新興国投資を一般に広めた。

米投資会社ブラックロックの主任株式ストラテジスト、ロバート・ドール氏もオニール氏の見方に同意する。ドール氏は、米経済の改善と、減税延長が先週決まったことにより、投資家がポートフォリオにおける米国株の比重を引き上げる根拠は強まったと指摘した。

ソロス氏予言の金バブルの行方-暴落の運命ならETF個人投資家受難

12月20日(ブルームバーグ):ジェームズ・バートン氏が米最大の公的年金、カリフォルニア州職員退職年金基金(カルパース)の最高経営責任者(CEO)だった2002年当時、1428億ドル(現在のレートで約12兆円)に上る運用資産のうち金への投資は全くなかった。その理由は、金が20年にわたって弱気相場となっていたからだ。

  バートン氏はカルパースを辞職して程なく、それまで聞いたこともなかった鉱山業界の団体から仕事の申し出を受けてロンドンに飛んだ。02年6月初めのその日、雨でびしょびしょにぬかるんだ英国のゴルフコースをレンタルしたゴルフシューズで歩きながら、現実離れしたあるアイデアを聞かされた。それは、金を投資商品として一般の人々に売るというものだった。

  業界団体ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)の当時の新会長、クリストファー・トンプソン氏はその日、バートン氏に対し、長期にわたって避けていた金を投資家が買う時機が到来していると語った。鍵となるのは金の延べ棒をニューヨーク証券取引所で取引できる証券に分割する事だという。トンプソン氏はバートン氏にその取り組みを主導してほしいと持ち掛けた。バートン氏は少なからず機関投資家とのつながりがあったからだ。当時、金の現物価格は1オンス=約328ドルだった。

  当時、南アフリカ共和国のゴールド・フィールズの会長でもあったトンプソン氏(62)は「簡単な方法が見つけられれば、一般の投資家が大量の金を購入する市場があると確信していた」と振り返る。

            1431.25ドル

  トンプソン氏は17番ホールのマッチプレーでバートン氏に勝ち、WGCのCEO就任を納得させた。次なる2人の取り組みは、少なくともここ90年間で最長の金の上昇相場において鉱山業界が果たした役割を示している。金相場は今月7日、過去最高値の1オンス=1431.25ドルに達した。

  この2人のリーダーシップの下、WGCが設定した信託は金に裏付けされた上場投資信託(ETF)として米証券取引委員会(SEC)に承認された。WGCにはカナダのバリック・ゴールドや米ニューモント・マイニングなどの産金会社が加盟している。これにより投資家はコストや現物受け取りの問題を抱えることなく金にアクセスすることができるようになった。

  金ETF「SPDRゴールド・トラスト」の保有量は現在、1299トン、約570億ドル相当と、スイスの中央銀行の金準備を上回る。金への投資家には、ノートルダム大学やテキサス州教職員退職年金基金のほか、ジョン・ポールソン氏率いるポールソン、ローレンス・フィンク氏が指揮を執るブラックロック、ジョージ・ソロス氏が運営するソロス・ファンド・マネジメントなどヘッジファンドや資産運用の大御所の企業が名を連ねる。

              10大ETF

  世界の10大ETFの金保有量は計2113トンと、米国やドイツ、イタリア、フランスを除くどの国の金準備よりも多い。

  金連動型ETFの人気が金相場の前例のない上昇をけん引し、米ゴールドマン・サックス・グループのアナリストら一部の市場関係者はさらに値上がりすると予想している。

  ソロス氏はスイスのダボスで今年1月開かれた世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で、金相場を「究極の資産バブル」と表現した。この時の金価格は1087.10ドルだった。ソロス氏の金連動型ETFの保有高は9月30日時点で6億6480万ドル相当に上った。

  ブルームバーグが集計したデータによると、金値上がりは、過去10年間に崩壊した3つのバブルの動きに似ている。それは、2000年のナスダック総合指数のバブル、05-06年の米住宅市場のバブル、そして08年の原油相場高騰だ。

  WGCの米国・投資担当マネジングディレクター、ジェーソン・トゥーサン氏は14日のインタビューで、金相場の上昇ペースは最近のバブルのようなものではないと主張したWGCの9月のリポートを引用した。リポートによると、株価指数や原油など他の資産と比較すると金相場の上昇は長期的平均に準じている。

            放物線状の値上がり

  ボストン大学の金融・経済学部の主任講師、マーク・ウィリアムズ氏は、資産価格が現在の金のように放物線状の上昇を示す場合、最終的には暴落する運命にあることを歴史が示していると指摘。そして、そのような状況ではほとんど常に、個人など小口投資家が資金を引き揚げるのが遅過ぎるとの見方を示した。

  資産運用で最大手のブラックロックによると、ETFの金のうち最大半分を個人投資家が保有している。ウィリアムズ氏は「投資を引き揚げる過程で弱者がドアノブに頭をぶつけることになるだろう」と警鐘を鳴らした。