2012年2月15日水曜日

米ゴールドマン、韓国ハナ保有株全てを260億円で売却-出資から撤退

2月14日(ブルームバーグ):米ゴールドマン・サックス・グループは、韓国の銀行持ち株会社ハナ・フィナンシャル・グループの保有株3.9%全てを3720億ウォン(約260億円)で売却、7年にわたる出資から撤退した。

  ゴールドマンは、ハナの株式950万株を1株当たり38950ウォンと、13日の終値を3%下回る価格で売却した。ブルームバーグニュースが14日入手した売却条件に関する情報で判明した。

  ゴールドマンは2005年にハナに出資、一時筆頭株主だったこともある。11年に750万株を手放した。ハナは先週、同社としては最大規模となる4兆4000億ウォンでの韓国外換銀行買収を完了している。

  14日のソウル市場で午前9時14分(日本時間同じ)現在、ハナ株は0.5%安の39950ウォン。13日の終値は40150ウォンだった。

  シンガポールの政府系投資会社テマセク・ホールディングスは、9.6%のハナ株を10年10月に前の日の終値を6%下回る水準で売却した。

2012年に投資すべき新興国はここだ-有望市場の番付上位の顔ぶれ

2月8日(ブルームバーグ):「エマージングマーケット(新興市場)」という言葉の生みの親であるアントワーヌ・バンアグトメール氏は1970年代後半にアジアを旅行していた時、至るところに投資に値する企業があると確信した。世界銀行グループの国際金融公社(IFC)に在籍中の81年に「第3世界の株式投資信託」という名称を米投資銀行のソロモン・ブラザーズに提示したものの、「こんなファンドは決して売れないと言われた」という。
「彼らが望んだのはもっと気持ちの高揚する名前だった。エマージングという言葉を考え出したのはこういう経緯からだ」とバンアグトメール氏は説明する。ブルームバーグ・マーケッツ誌3月号が伝えた。
  同氏は新興市場と一般に呼ばれるようになった今でも同市場への強気の見方を崩していない。現在は米バージニア州アーリントンにあるアシュモアEMMで新興市場株の74億ドル(約5700億円)の運用に携わる同氏は、「グループとしては、歴史的にも相対的にも過去25年間と同様に今も魅力がある」と語る。特に注目しているのは中国と中東の企業の株式だ。
           フロンティア市場
  これはブルームバーグ・マーケッツが初めてまとめた投資家にとって最も有望な新興市場とフロンティア市場の番付上位に合致する。国内総生産(GDP)予想やビジネスのしやすさなど、投資環境を判断する12以上の評価基準に基づいてまとめた同番付では中国が首位で、タイ、ペルー、チリが続いた。
  大半の投資家には市場規模が小さく流動性が低いと指数算出会社が見なすフロンティア市場の番付では、ベトナムが首位で、アラブ首長国連邦(UAE)が2位。3位はブルガリアとルーマニアだった。
国際通貨基金(IMF)は中国経済が今後5年減速すると予測しているものの、経済規模で世界2位の中国は投資家の注目を集めている。IMFの昨年9月の予測によれば、中国の成長率はしばらく年10%を超えた後、2012-16年は平均9.4%に鈍化する見通し。それでも今回の番付に入った国では最も高い成長率だ。中国の政府債務はGDP比16%と低い上に、株式相場に割安感があることが有望な新興市場の番付で首位に立った要因だ。
  いわゆるBRIC諸国の残り3カ国は芳しくなく、ロシアは8位で、インドとブラジルは上位10位内に入らなかった。
           インドのインフレ
  インドは15位にとどまった。消費者物価が高騰したのに加え、インド株式市場の株価収益率(PER)が年末時点で14.1倍と、MSCI新興市場指数の10.6倍に比較して割高感があることが響いた。
  ブラジルは16位。7-9月(第3四半期)の前期比経済成長率は2年余りで初めてマイナスとなった。商品価格の下落で輸出収入が落ち込み、欧州の債務危機で企業景況感も悪化した。
  ゴールドマン・サックス・グループのアセットマネジメント部門会長で、10年前にBRICという言葉を生み出したジム・オニール氏は「各国は今年、それぞれの課題に取り組み始めている」と指摘した上で、「だからと言って存亡の危機に見舞われているわけではない」と付け加えた。
  タイが高得点だったのは、農産物が豊富で勤勉な労働力を持つ国であるという理由からだ。過去10年で平均5.7%の成長を遂げてきたペルーは、南米全体の消費の急増から恩恵を受けるとテンプルトン・エマージング・マーケッツ・グループのマーク・モビアス執行会長は分析した。同会長はペルー株を購入している。
  チャンスの匂い
新興市場株のストラテジストらは今年の見通しに強気だ。シティグループの新興市場戦略責任者、ジェフリー・デニス氏は、中国の金融緩和策を追い風にMSCI新興市場指数が年末までに32%上昇すると予測する。
  MSCI新興市場指数は昨年、欧州債務危機で世界経済の成長が抑えられるとの懸念から20%下落し、今年1月半ばには過去の平均より30%割安な水準に達した。
  バンアグトメール氏は、「投資家が戻ってくるのは時間の問題だ。リスクよりもチャンスの匂いを嗅ぎつけるだろう」と期待する。

ソロス氏:欧州債務危機でEU崩壊の恐れも-首脳が対処に苦心で

2月4日(ブルームバーグ):投資家ジョージ・ソロス氏は4日、欧州連合(EU)首脳は域内の債務危機封じ込めに苦心しているとして、危機がEUを「崩壊させる可能性」があると指摘した。
  ソロス氏はミュンヘンでの会議で、「ユーロ圏の危機は事実上、EUの政治的団結を損ないつつあり、EUを崩壊させることもあり得る」と語った。

ポールソン氏の主力ファンド:1月の運用成績はプラス5%に回復

2月3日(ブルームバーグ):資産家でヘッジファンドマネジャーのジョン・ポールソン氏が運用する主要ヘッジファンドの1本「アドバンテージ・プラス・ファンド」の運用成績が1月にプラス5%となったほか、全てのファンドで戦略が成果を挙げた。リターン(投資収益率)について説明を受けた関係者の1人が明らかにした。同氏の2011年の運用成績はこれまでで最悪だった。
  ポールソン氏は、自身が運営する資産規模約240億ドル(約1兆8400億円)のヘッジファンド運営会社ポールソン(ニューヨーク)にとって昨年は「常軌を逸した年」だったと述べている。昨年は米シティグループやバンク・オブ・アメリカ(BOA)、中国の造林会社サイノフォレストなどに投資。サイノフォレストについては、投資家のカーソン・ブロック氏が、中国で保有する森林資産の規模を水増ししている可能性があると指摘した。アドバンテージ・プラス・ファンドの昨年の運用成績はマイナス51%だった。
  買収や経営破綻などの企業イベントから収益機会を狙い、リターン拡大にレバレッジを活用する同ファンドの金建てのゴールド・シェア・クラスの1月の運用成績はプラス7.4%だった。ポールソンが運用する大半のファンドへの投資については、ドル建てか金建てかを選択することができる。
  関係者が匿名を条件に明らかにしたところによると、ポールソンの「ゴールド・ファンド」の1月の運用成績はプラス13%。同ファンドはデリバティブ(金融派生商品)などへの金関連投資を行う。ポールソンの金関連投資は昨年、年末までの4カ月間に金相場が14%下落するまでは好調だった。
  ポールソンの広報担当、アーメル・レスリー氏はリターンに関するコメントを控えた。リターンの一部については3日、経済ニュースを提供するビジネス・インサイダーのウェブサイト、クラスターストックで報じられた。
  米国やカナダなど先進国の低金利政策で世界の経済成長が促されるとの観測が投資家の間で高まる中、金相場は先月11%上げ、1月としては1983年以降で最大の上昇率を示した。