6月8日(ブルームバーグ):英貴金属調査会社GFMSのポール・ウォーカー最高経営責任者(CEO)は、金価格について今年5月につけた過去最高値を年内に更新する可能性が高いとの見通しを示した。欧州の債務危機で景気が2番底をつけるとの懸念を背景に、安全資産の金に「質への逃避」買いが入るとみている。
7日、東京都内で開催された「GFMS社年次報告発表会」後にブルームバーグ・ニュースとの単独インタビューで答えた。ウォーカー氏は、「欧州でいま起こっていることは2番底の可能性を高めている」と指摘。金は、目先でいったん売られる局面もあるとした上で、年内は投資資金の流入が強気の相場を支えることになると予想した。
金の現物価格は5月14日に欧州の財政や経済不安を受け、リスク回避の動きが活発化したことなどから1オンス=1249.40ドルと過去最高値を付けた。1999年8月に20年ぶりの安値となる251.95ドルを付けて以来約5倍となっている。金現物価格はシンガポール時間午前8時38分(日本時間同9時38分)現在、1238.71ドルで推移している。
金相場の今後の見通しについて、ウォーカー氏は「投資に関してはまだ旺盛な意欲が年を通じてある。資金流入が増えれば、1300ドルを超えることもあり得る」と述べた。
ウォーカー氏は、インタビューに先立つ「年次報告発表会」で2009年の金の需給バランスについて、鉱山生産量が宝飾品などの加工用需要を上回り、このギャップを投資需要が埋めたと説明した。
ウォーカー氏は現在の市況水準である1オンス=1200ドル程度を維持するのに「年間で600億-800億ドルの正味の資金流入が必要になる」と述べた。金市況の下落リスクについては「投資家がほんの短期間であっても、金を買いたくないという瞬間があった時、150-200ドル程度下落する局面があると思う」と述べた。
GFMSによると、09年の金供給量は4287トンと前年比8.3%上昇。中央銀行など公的部門からの売却量が大幅減少したものの、鉱山生産量が2572トンと6.8%増加した上、中古金スクラップも1674トンと27.2%増加した。一方、金需要は、宝飾品など加工用合計量が2417トンと16.3%減少したが、正味退蔵投資が前年比3倍強の1429トンに増加した。
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