2012年2月1日水曜日

バーナンキ米FRB議長の会見要旨

[ワシントン 25日 ロイター] バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長は25日、連邦公開市場委員会(FOMC)終了後に記者会見を行った。 発言内容は以下の通り。
<バランスシートの拡大>

バランシートの拡大が今も1つの選択肢であることは間違いない。特に完全雇用に向けた動きが不十分になった場合や、インフレ率が極めて低い状態が続いた場合、非常に真剣に検討する。したがって、引き続き検討していくことになる。

<インフレ目標と雇用の関係>

われわれは絶対主義者ではない。雇用改善のために、インフレ率の目標達成を少し遅らせることが必要であれば、積極的にそうする。

<追加刺激策の実施>

インフレが目標を下回り、失業率の改善ペースが極めて緩慢な状況が続いた場合、われわれの枠組み、枠組みに関する論理は、一段の措置を検討すべきであることを示している。

インフレ目標とできる限り迅速な景気回復の支援を達成する政策を採用する必要がある。

そのためわれわれの枠組みについて説明することには利点がある。なぜなら景気回復とインフレ正常化のペースが改善しない場合、追加刺激策を実施する方策について検討する必要性をわれわれの枠組みが明確に示すからだ。
<モーゲージ元本の減免>

元本減免は、どういった構造で行うかに左右されるが、返済延滞を減らすには有用な可能性があるとみられる。

ただ、同時にある程度の難点が伴う可能性がある。その1つは、米国内に約7000億ドルという巨額のネガティブ・エクイティがあり、全ての国民を赤字から守るプログラムは想像できないという事実だ。

200億、250億ドルあるいは、どのような規模が減免の対象になろうとも、できるだけ多くの国民を支援でき、コスト効率が最も優れた方法は何かということが問題になると思う。この問題については、依然協議が続いている。

<住宅市場>

住宅セクターのぜい弱さは、景気がより力強く回復していない重大な原因だ。また住宅金融の問題は、金融政策がより強力ではない理由の1つだ。なぜなら波及メカニズムの一部は借り換えに影響を与える低金利を通じて行われるためだ。これは(借り換えだけでなく)住宅販売・購入にも影響する。

これに加え、われわれは銀行監督当局として、サービシング、ローンの条件変更、支払い延滞など住宅ローン融資のあらゆる要素に多大な関心を抱いている。

<経済見通し>
国際金融市場の緊張が、引き続き経済見通しに対する著しい下方リスクとなっている。

消費者および企業信頼感の改善、金融市場の持ち直し、極めて緩和的な金融政策スタンスの継続とあわせ、経済活動は今後緩やかに加速する見通しだ。

<雇用>

最近発表されている多くの指標は、全般的な雇用状況における一段の回復を示しているが、失業率は高止まりしている。FOMCは景気回復が緩やかなペースになるとの予想を踏まえ、失業率は今後数四半期で、FRBの責務と一致する水準に向かって緩やかにしか低下しないと予想する。

<資産売却>

2014年終盤まで超低金利政策の解除時期見通しを先延ばししたことは、バランスシート上にある資産の売却開始時期が従来予想よりも後ずれし、おそらく2015年になることを示唆している。そのためわれわれは、より長期にわたりバランスシートを高水準に維持すると見込んでいる。

<自然失業率>

大規模な長期失業で一部労働者の技術が失われることや、労働人口から外れる可能性をわれわれは懸念している。少なくとも当面はこのような理由から、自然失業率は押し上げられる公算が大きい。
この方向に作用する要因は複数あるが、いずれにしても、正確にどの水準が自然失業率なのかということについて、強い不透明性があることは確かだ。その一方で、8.5%という水準は明らかに、あらゆる推定値を優に上回っていると思われ、従ってわれわれは引き続き、労働市場は明確に活気のない状態であると考えている。

<最近の指標>

昨年第4・四半期や最近発表された指標で確認されている勢いが2012年も継続することを望んでいるが、引き続き状況を注視していく。現時点で、米経済が力強い新局面に入ったと宣言する用意はできてない。

われわれは引き続き、保有するポートフォリオ、保有証券を見直していく。景気回復が腰折れした場合や、インフレ率が目標に向かわない場合、その方向で追加措置を講じる用意はできている。これは明らかに検討されている選択肢だ。(決定をめぐり)明言することは時期尚早だが、この選択肢を見極め、状況によって正当化されれば、利用するかどうかを判断する。

<インフレと雇用>

インフレが長期間、目標を下回る水準にとどまり、失業状況の進展が極めて遅い場合、追加の政策措置が妥当かどうかが暗黙の問題となる。引き続き状況を見守りたいが、実際にこうした不本意な状況に陥った場合、われわれは当然、経済を支援するさまざまな手段を検討する用意がある。

<インフレ目標>

米連邦公開市場委員会(FOMC)は、個人消費支出(PCE)価格指数の年間変化率で2%とするインフレ率が、連邦準備理事会(FRB)の法的責務と一層長期的に最も整合がとれると判断した。
時間の経過とともに、インフレ率が上昇すれば、一段と長期的な経済・金融に関する決定を正確に行う国民の能力は低下する。一方で、インフレ率の低下は、デフレに陥る高い確率と関連づけられる。

国民に、この2%の長期的インフレ目標を明確に伝えることは、物価安定の実現および長期金利を穏やかな水準に維持することに寄与するとともに、経済が大きな不安定に見舞われた際の雇用最大化を促進する上でのFOMCの能力を強化する。雇用最大化は、金融政策の目標として物価安定と同等の地位にある。

<成長見通し>

最近の指標は、世界的な経済成長の一部減速にもかかわらず、経済が緩やかに拡大してきたことを示している。住宅市場の低迷や、家計・中小企業向けの与信が依然タイトな状況となっていることを反映し、経済成長が今後数四半期、緩やかなペースになるとFOMCは予想する。

FOMC参加者は、2012年の実質国内総生産(GDP)伸び率が2.2─2.7%との見通しを示した。世界的な金融市場の緊張は引き続き、見通しへの著しい下方リスクとなっている。

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