2011年12月25日日曜日

ノルウェー輸出公社サムライ債、ヘッジファンドがデフォルト宣言

12月19日(ブルームバーグ):ノルウェー輸出金融公社は19日、同公社のサムライ債について米ヘッジファンドからデフォルト(債務不履行)を宣言されたと明らかにした。ノルウェー政府が先月、同公社の段階的閉鎖を決めたことが理由。

  ノルウェー公社は「弁護士の助言に基づき、当社はこの宣言を断固否定する」との文書を発表。「デフォルトは発生しておらず、従って宣言は無効だという立場を貫く。これに基づき、宣言は他の債務に関するクロスデフォルト事由とはならない」と表明した。

  ノルウェー政府は11月、輸出産業支援のため1962年に設立された同公社を段階的に閉鎖すると発表した。一括大口融資を制限する欧州の資本規則からの適用除外の申請を拒否した。これを受けて格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは同月22日に公社の格付けをジャンク級(投機的格付け)に引き下げ。スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)はユーロMTN(ミディアムタームノート)プログラムに基づく同公社債が既にデフォルトしている可能性があるとの見方を示した。

  トリプルAの最高格付けを持つノルウェー政府の裏付けがあると考えて同公社債を購入した投資家は、不意を突かれた形となった。同公社の債務残高は約350億ドル(約2兆7300億円)相当。SMBC日興証券が先月示したデータによれば、日本の投資家は同公社債1兆円余りを保有している。

           政府介入への期待も

  SEBマーチャント・バンキングのノルウェー担当チーフストラテジスト、エリカ・ブロムグレン氏は「ノルウェー輸出金融公社のプログラムに関する実際のデフォルトリスクについて、まだ多大の不確実性があることをこの日の宣言が示した」と指摘。「ただ、そのようなシナリオの場合は政府が介入すると考えている」と続けた。

  政府は同公社の15%を保有している。ギスケ貿易・産業相は先週、同公社の「成功」は政府にとっても重要だと述べている。

  S&Pの信用アナリスト、ペル・トーンクウィスト氏はこの日明らかになった展開が格下げを引き起こすかどうかは言明を避けた。同氏は電話で、早期償還のリスクなどが格付けに関する検討の焦点だと指摘し、当然それに関するあらゆる側面を検討すると述べた。

  ノルウェー公社の広報担当、エリス・リンドバーク氏は19日に電話で、デフォルトを主張した投資家の名前は明らかにせず、「クレジットおよびスペシャルシチュエーション投資に特化した1社の投資会社、つまりヘッジファンドだ」と述べるにとどめた。

  同氏は「当社はデフォルトが発生したとは考えておらず、当社の見解を支える法的根拠も多数ある。流動性は十分にあり、このデフォルト宣言に対して当社はあらゆる手段を駆使して抵抗していく」と言明した。


ノルウェー、輸出金融公社の信用事由回避を示唆-S&Pアナリスト
12月8日(ブルームバーグ):ノルウェー輸出金融公社は段階的に事業が縮小されるためデフォルト(債務不履行)に陥ることはないとの保証は、政府がクレジットイベント(信用事由)の回避に取り組んでいることを示していると、米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)はみている。

  S&Pの信用アナリスト、ペル・トーンクウィスト氏は7日の電話インタビューで、「輸出金融公社に関連して所有者が何を言い、所有者がどのような取り組みをする意向があるのかを注意深く見守っている」と説明、「政府は自らの利益を守るため公社にとって最善となるよう行動する強い動機を持っているとわれわれはみている」と述べた。

  S&Pは11月25日、ノルウェー輸出金融公社の格付けを5段階引き下げ「BBB+」とした。その前には別の米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスが同公社を7段階格下げしていた。これらの格下げは、ノルウェー政府が同公社の事実上の解体を決めたことを受けたもの。

  ノルウェーのギスケ貿易・産業相は6日、オスロでブルームバーグの質問に対し、輸出金融公社は「輸出産業が有利な条件で資金を確保できるためのノルウェー政府にとって強力かつ重要なツールだ」と指摘。デフォルトの可能性については「私が決めることではない。格下げが正当だとは思わない」と述べた。

             ユーロMTN

  S&Pは同公社のユーロMTN(ミディアムタームノート、中期債)がすでにデフォルトしているかを調査しており、追加格下げもあり得るとする「クレジットウオッチ・ネガティブ」としていたが、トーンクウィスト氏はこれについて「ユーロMTNの状況は専門的な問題であり、単純なものではない」と語った。

  同氏は、「輸出金融公社は今すぐ不履行ではないとのコメントを出したが、われわれの法律専門家はそれが明白な最終状況を示すものではないとの結論に至った。われわれはそのことを『クレジットウォッチ』という形で警告する必要があるが、クレジットウォッチはOK、大丈夫だという結論に終わることもあり得る。そうなれば格付けを据え置き、アウトルック(格付け見通し)を示すことになる」と話した。

  ファースト・セキュリティーズのチーフ債券アナリスト、パール・リングホルム氏は6日のインタビューで、原油収入を基にした5600億ドル(約43兆円)の政府系ファンド(SWF)を持つノルウェーについて、クレジットイベントに伴う副次的影響を考えると、政府が輸出金融公社のデフォルトを許す公算は小さいと指摘。「デフォルトを回避する強い動機があり、それを防ぐ手段がある」と述べた。


ノルウェー:国債発行を増額へ-輸出企業向けの直接融資で
12月6日(ブルームバーグ):ノルウェーは国債発行を拡大する方針だ。政府がノルウェー輸出金融公社の事業縮小を突然決めたことで信用市場の動揺が日本まで及んだが、輸出企業向け融資を強化する。

  今月2日に示された方針によれば、政府は輸出企業への直接融資に充てるため、400億クローネ(約5400億円)を追加で来年調達する。先に計画していた220億クローネの国債発行計画に上乗せされる。ストルテンベルグ首相は11月18日、輸出金融公社の中核事業廃止を発表した。

  ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、輸出金融公社の格付けを7段階引き下げジャンク(投資不適格)級とした。その後、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)も5段階の格下げを実施。S&Pによれば、同公社のユーロMTN(ミディアムタームノート、中期債)プログラムはすでにデフォルト(債務不履行)状態となっている可能性がある。

  ロンバート・オディール・インベストメント・マネジャーズ(ジュネーブ)で金利責任者として370億ドル(約2兆8800億円)相当の運用に携わるグレガー・マッキントッシュ氏は、「比較的しっかりした財政基盤のノルウェーが国債発行を増やすことをポジティブと捉えることができると思う。戦略的な観点からすれば、投資は妥当だ」と述べた。

  ノルウェー国債の1営業日の平均的な取引額はレポ取引を除いて12億クローネ(約160億円)。ナスダックOMXのデータとブルームバーグの算出によれば、隣国スウェーデンの国債取引額は約173億クローナ(約1990億円)。

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