2011年9月19日月曜日

ギリシャ危機に駆けつけたら… 「米に言われたくない」

産経新聞 9月18日(日)7時56分配信

 【ロンドン=木村正人】ギリシャ財政危機の対応を話し合うためポーランド西部ブロツワフで16、17日に開かれた欧州連合(EU)の非公式財務相理事会。対応の遅れにしびれを切らした米国のガイトナー財務長官が急遽(きゅうきょ)、乗り込んだが、欧州側の反応は「米国には言われたくない」と冷ややか。かえって欧米間の亀裂を露呈する結果となり、金融市場の混乱に拍車をかけかねない状況だ。

 「もめている場合ではない。各国の政府と中央銀行が対立するのは、もっとも危険なことだ」

 ガイトナー長官は、ギリシャ危機対応で足並みの乱れが目立つ欧州各国に結束を呼びかけた。その上で、欧州金融安定化基金の拡充を提案した。

 これに対し財務相会合の議長を務めるルクセンブルクのユンケル首相は「部外者とは協議しない」と不快感をあらわにし、ドイツのショイブレ財務相は「(各国の負担増は)有権者の理解が得られない」と、一蹴した。

 またガイトナー長官は世界経済の減速に対応した景気刺激策の必要性も強調したが、欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁は17日の会見で「他の主要国と比べて欧州はまだまし」と取り合わなかった。

 「米国の方が(経済の)指標は悪いのに、われわれに何をすべきか言うのは奇妙なことだ」(オーストリアのフェクター財務相)

 「米国こそどうやって財政赤字を削減するのか」(ベルギーのレインデルス財務相)

 欧州の財務相の米国批判は辛辣(しんらつ)だった。

 ギリシャからイタリア、スペイン、さらにはフランスにまで財政危機が飛び火する懸念が高まるなか、欧州側は財政再建を最優先と位置づけており、景気重視の米国との立場の違いは、一段と鮮明になっている。

 16日のユーロ圏財務相会合では、ギリシャの財政赤字の削減を条件に第6弾となる80億ユーロの融資を実施することで合意し、当面の危機は何とか回避した。

 だが、12月には50億ユーロの第7弾融資を控えており、財政再建が進まなければ、再び実施が危ぶまれ、市場が混乱する恐れがある。さらに2013年以降の第2次救済策も、9月中に終わるはずだったユーロ導入17カ国の議会承認が10月以降にずれ込む公算が大きくなっている。

 ギリシャのデフォルト(債務不履行)不安がくすぶり続けるなか、各国の結束は見えないままだ。

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