2011年6月5日日曜日

グーグルのシュミット会長、「私はSNSで失敗した」公開インタビューでCEO時代を振り返る

グーグルのエリック・シュミット会長が、米ウォールストリート・ジャーナルの技術系情報サイト「オールシングスデジタル」の公開インタビューに登壇し、「私はソーシャルネットワーキング分野で方向性を間違った」と語ったと海外メディアが伝えている。

 シュミット氏がグーグルの最高経営責任者(CEO)を退いて会長職に専念したのは今年の4月。それまでの10年の経験を通して、同氏が今のネット市場をどう見ているのかが分かる内容だ。

「フェイスブックには称賛すべき功績がある」

今春から会長職に専念しているグーグルのエリック・シュミット氏〔AFPBB News〕
 この中で同氏は、「今のネット市場で情報伝達を向上させるためには、ユーザーやその友人が誰であるかという情報が重要になる」とし、そうした情報を入手できるソーシャルネットワーキングの分野でグーグルは出遅れたと説明している。

 「何かをしなければならないことは明白だったが、私はしなかった」「CEOは責任を取るべきだ。私は失敗した」と述べたと米ブルームバーグは伝えている。

 米フェイスブックは実名登録制のサービスを展開し、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)世界最大手となった。ユーザーに現実社会のプロフィールを入力してもらい、それらの情報をもとに人々がネットでつながる仕組みを提供した。

 その人物が誰であるかや、嗜好までもが分かる仕組みが奏功し、フェイスブックはネット広告市場でグーグルなどの脅威となった。

 シュミット会長は、「フェイスブックには数々の称賛すべき功績がある」としたうえで、「グーグルもその膨大なユーザーにアクセスしようとフェイスブックとの提携を試みた。しかし結局は提案を拒否され、フェイスブックは米マイクロソフトと提携した」と述べている。

ネットは「4人組の一団」が支配している
 また同氏は、今の消費者向けネットの市場は「4人組の一団」によって支配されているとも述べている。その“4人”とは、グーグル、フェイスブック、アップル、アマゾン・ドットコムの4社のことだ。いずれも自社のネットサービス上で他社のサービスが展開されるという、いわゆるプラットフォーム戦略に成功している企業だ。

例えば、グーグルにはネット検索やモバイル端末用の基本ソフト(OS)「アンドロイド(Android)」がある。

 フェイスブックにはサービス上で動く様々なウェブアプリケーションがあり、アップルにはアイフォーン、アイパッドとその上で動くアプリが、アマゾンには、ネット通販のほか、電子書籍などのデジタルコンテンツがある。

 シュミット会長は、これら4社が消費者や投資家に膨大な恩恵をもたらしているとし、4社を合わせたその価値は5000億ドル(約40兆円)にも上ると見ている。同氏によると、この額はテクノロジー史上前例のないもので、またこれほどの規模で4つの企業が成長していることも前例がないという。

一般的なテクノロジー企業がたどる道
 ただ、米シーネットニュースによると、シュミット会長はこれら4社の現在の地位は将来にわたって約束されたものではないとも述べている。1つの企業がインターネット市場でトップの座に君臨できる期間はここ最近どんどん短くなっているからだという。

 そのためには、やはりイノベーションが必要なのだと同氏は指摘している。同社は一般的なテクノロジー企業が次のような経緯をたどると説明している。

 「まず2人の共同設立者で会社を興す。やがて株式公開し、金持ちになる。すると次第にその会社は退屈なものになり、老けてもいく」――。

 これを避けるためにどうしても必要なのが、製品やサービスのイノベーションなのだという。

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