2009年9月2日水曜日

金相場短観:膠着感強まる金相場、上昇の条件を探る

9月2日11時54分配信 サーチナ

金相場の膠着感が強くなっている。NY金先物相場は950ドル水準、東京金先物相場は2900円水準に居心地の良さ感じる向きが多く、明確な方向性を打ち出せていない。
特にニューヨーク市場では出来高が極度に落ち込んでおり、典型的な夏枯れ相場が続いている。取組高にも目立った変化はなく、多くの市場参加者がポジションを放置状態にしていることが窺える。新たなトレンド形成を待ちたいとするムードが強くなっている。

ファンダメンタルズの面からも、現在の金相場では強弱感が交錯している。今年下期の金相場が下値を切り上げる原動力となっている「株高→ドル安→ドル建て金相場上昇」のフローが一服していることで、一段と上値を試す動きが見受けられない。足元の各種経済指標は景気回復見通しを支持する内容になっているが、それを考慮に入れても最近の株高・商品高など資産価格上昇は行き過ぎとの見方が浮上している。このため、「中長期の強気見通し」と「短期の弱気見通し」が交錯しており、金相場は方向性を欠く結果になっている。

こうした視点に立てば、再び上値を試すシナリオとしては以下の二つが考えられる。第一に、日柄・値柄調整を進めることで、相場の過熱感を解消させること。ダウ工業株は1万ドルの節目を前に伸び悩んでいるが、3月6日安値6469.95ドルを起点とした上昇トレンドは、9~12月期の1万ドル台乗せを支持している。このため、一時9000ドル水準までの調整、または、9月下旬まで現行の価格水準を維持すれば、第4四半期には株高を起点とした金相場の上昇トレンドが再開される可能性が高い。

第二に、現行の資産価格を正当化する強気の経済指標など、追加の支援材料が得られること。株式相場で調整リスクが意識されているのは、あくまでも短期的な過熱感が意識された結果であり、実体経済が悪化しているわけではない。このため、過熱感を払拭するに足る強気の経済指標が発表されれば、資産市場から投機色が払拭され、再び上昇傾向が強まる可能性がある。その意味で、4日発表の8月米雇用統計に注目したい。米マクロ経済に関しては、1)雇用市場の悪化と2)住宅価格下落の二点がボトルネックとみられているが、住宅価格には下げ止まりの兆候が増えており、今後は雇用情勢の改善が実現するか否かが最大の焦点になり易い。ただ、事前予測では、失業率が前月の9.4%から9.5%までの上昇予測、非農業部門就業者数(NFP)が前月比
22万5000人減など、総じてネガティブな数値が予測されている。

実体経済の回復基調、それに伴う投機マネーのリスク選好性、株高、ドル安、インフレ懸念など、強気の相場環境には変わりがない。このため、金相場の上昇基調そのものが修正される可能性は低いだろう。価格水準の切り上がりでアジアや中東地区の実需が落ち込んでいるが、欧米の投資需要拡大がその影響を相殺しており、需給面からも下値不安は大きくない。現状は、新たな上昇トレンド形成のための準備期間と評価している。下値は910~930ドル水準を想定しておけば十分だろう

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