2009年4月8日水曜日

米経済、長期にわたる減速に直面する可能性=ソロス氏

[ニューヨーク 6日 ロイター] 米著名投資家ジョージ・ソロス氏は6日、米経済について、「長期にわたる減速」に直面する見通しであり、高インフレとともに、日本式の比較的低成長期を迎える可能性があるとの見方を示した。

 ロイター・フィナンシャル・テレビジョンに語った。

 同氏はまた、米金融機関の救済について、これらの金融機関を経済の活力源を吸い取る「ゾンビ機関」に変え、経済の減速を長期化させる可能性があると警告した。

 ソロス氏は「米経済が第3または第4・四半期に回復するとは予想していない。従って、かなり長期的な減速に直面しそうだ」と語った。その上で、2010年に米経済の成長に関して「重要なこと」があるかもしれないと指摘した。

 ソロス氏の見方は、ロイターが実施した最近の月間エコノミスト調査に基づいた大半のエコノミストの見方と相反している。ロイター調査では、大方のエコノミストが、米経済は第3・四半期に縮小が止まり、第4・四半期に成長を再開するとの見方を示した。

 ソロス氏は「金融システム全体が、基本的に支払い不能となっている」と指摘。

 「われわれが現在作り出した状況は、金融機関が窮地を脱することは可能だろうが、そうすることで、経済を圧迫するという状況だ。経済を刺激する代わりに、こうした金融機関は存続するために実体経済から活力源である利益を吸い取るだろう。これはゾンビ機関を作り出す状況だ」と語った。

 ドルは売り圧力にさらされており、将来的に世界の準備通貨の地位を失い、恐らく、国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)がドルに取って代わるとの見方を示した。

 「現在ドルは疑問視されており、米国にも他国同様の規律を求めるための制度改革が必要だ」とし「基軸通貨国として、今まで免除され乱用してきた。これは、生産した物の6.5%を上回る物を効果的に消費してきたため。こうした状況は終わりに近づいている」との考えを示した。

 ドルが下落し、金利上昇や成長減速を引き起こすドルの「転換点」のリスクがあるとし「これはスタグフレーションにつながる」と指摘、ハイパーインフレよりもスタグフレーションの可能性が高いとの見方を示した。

 中国は最近、SDRが将来的に世界の準備通貨になることも視野に入れ、SDRの使用拡大を提唱した。ソロス氏は「ドル以外の国際的な会計単位を確立することは、長期的にはわれわれにとっての利益となる。それによりわれわれは散財できなくなる。米国は過去25年間いい思いをしたが、今高い代償を払っている」と語った。その上で、現在国内総生産(GDP)の3分の2を占める米個人消費は、対GDP比60%まで減少する必要があるとの考えを示した。

 中国は他国よりいち早く景気後退から脱却し、それは恐らく今年になり、2010年には世界経済成長のけん引役になるとの見方を示した。

 前週の20カ国・地域(G20)首脳会合(金融サミット)については、世界の政策担当者は、危機対応や金融システムの構造的な問題修正で「追いつき始めている」と評価した。

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