2009年2月22日日曜日

NY外為(20日):ドルが対ユーロで続落、ドル高観測が後退

2月20日(ブルームバーグ):20日のニューヨーク外国為替市場ではドルが対ユーロで下落。この2日間の下げ幅は、昨年12月以来最大となった。トレーダー勢のドル高観測が後退したことが背景。

  ドルは対スイス・フラン、円、オーストラリア・ドルでも下落。ドルは相場下落とともに損失を限定するための売りが誘発された。朝方の取引では、ドルは対ユーロで一時0.9%上昇していた。シティグループとバンク・オブ・アメリカが国有化されるとの観測から両社の株価が急落、逃避先としてのドル需要が増したことが背景。

  ゲイン・キャピタル傘下FOREX・ドット・コム(ニュージャージー州ベドミンスター)のチーフ為替ストラテジスト、ブライアン・ドーラン氏は「週末前にショート・スクイーズがかかったようだ」と指摘。「ドルはストップ・ロスの注文が置かれていた1ユーロ=1.2650ドルと1ユーロ=1.2660ドルの水準を突破し、市場は不意を突かれる格好になった。ファースト・マネーの投資家はドルを投げ売りしていた」と語った。

  ニューヨーク時間午後4時26分現在、ドルはユーロに対して 1.3%下げ、1ユーロ=1.2846ドル(前日は1.1%下げ1ユーロ= 1.2674ドル)。2日間の下げ幅としては昨年12月17日以来で最大。2月18日には、ドルはここ3カ月の高値となる1ユーロ=1.2513ドルに達していた。

  円は対ドルで1.1%上げ、93円16銭(前日は94円20銭)。19 日には1月7日以来で初めて1ドル=94円を突破した。一方、円は対ユーロで0.2%下げ、119円63銭(前日は119円37銭)。

  主要6通貨のバスケットに対するICEのドル指数は1.1%下げ 86.488と、2日連続で低下した。2月18日には88.254に上昇、昨年11月21日(2006年4月以来の最高値)以来最高に達した。

  朝方の取引ではドルは大半の主要通貨に対して上昇していた。世界的な株安を背景に安全通貨としてのドルに買いが集まった。ドルはその後、ニューヨーク時間午前11時45分頃を境に下落に転じ、それまでの上昇分を失った。

ロング・ポジションで捕まる

  スコシア・キャピタルの為替トレーディング担当ディレクター、スティーブン・バトラー氏(トロント在勤)は「金融株の急落で、ドルを買い持ちにしていた市場参加者が意表を突かれた形になったのは明らかだ」と述べた。

  ドルは対スイス・フランで1.8%下げ、朝方の1.3%の上昇分を失った。ドルは対オーストラリア・ドルでも朝方1.3%上昇した後、 0.4%下げた。

  メキシコ・ペソは対ドルで一時1.5%下げ、過去最低に落ち込んだ。メキシコ中銀が政策金利を0.25%引き下げ、7.50%としたことがきっかけ。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミストの予想中央値は7.25%への引き下げとなっていた。

  円は週間ベースでは対ドル1.3%安、対ユーロ1.2%安。これでいずれも4週連続安。ドルは対ユーロでは前週比ほぼ変わらず。

株安

  MSCI世界指数が9日連続で下げ、1.6%低下したほか、S&P 500種株価指数は1.1%下げた。シティグループとバング・オブ・アメリカは国有化されるとの懸念から、それぞれ16%以上値下がりした。

  クリストファー・ドッド米上院銀行委員長(コネティカット州、民主党)は20日、ブルームバーグテレビジョンのインタビューに応じ、いくつかの銀行については、短期的に国有化する必要があるかもしれないとの見解を述べた。

  RBCキャピタル・マーケッツのシニア通貨ストラテジスト、マシュー・ストラウス氏(トロント在勤)は「今回の金融危機にはサプライズが多い」とし、「市場は悪材料を十分に織り込んだつもりでいたが、蓋を開けてみれば事態は予想以上に悪かった」と述べた。

トリシェECB総裁の「課題」

  欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁は20日、パリでのイベントで、世界的な信用危機が金融システムに「深刻な課題」を提示していると発言した。ECBは次回3月5日の会議で政策金利の追加利下げを実施する可能性がある。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミストの予想中央値は現行の2%から0.5%の利下げとなっている。

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